理念と展望

理念

蛋白質の存在様式は多様であり、それが関わる生命現象も多岐にわたっている。蛋白質の研究は、それを反映して基礎から応用まで多方面にわたって行われている。したがって、蛋白質についての研究を効率的に発展させていくためには、異なる専門分野の研究者が密接に協力して集中的に研究を進めていくことが不可欠であり、それにふさわしい充実した設備と施設を備えた、全国の研究者の討論と交流の場が必要である。このような要請に応えて、蛋白質研究所が創設された。本研究所は化学、生物、物理、医学などの様々な学問分野を基礎として、蛋白質の構造と機能の基礎的研究を行い、それらに立脚してさまざまな高次生命機能を分子及び原子レベルで明らかにすることをめざしている。さらに、共同利用研究施設として、全国の研究者に研究と交流の場を提供している。今日では世界の蛋白質研究を推進する国際拠点としての機能をも強めており、例えば、蛋白質立体構造データバンク(wwPDB)の世界4拠点の一つとして本研究所は世界の研究者に貢献している。

創設から半世紀の間に蛋白質に関する科学は著しく進歩した。一次構造から高次構造までを解析する手法が飛躍的に進歩し、蛋白質分子、超分子複合体の構造が次々と明らかにされている。遺伝子操作や化学合成法の進展によって、蛋白質を大量にかつ人為的に合成、改変することも可能となってきた。本研究所はこれらの発展に寄与すると同時に、その手法を駆使して蛋白質の機能を分子及び原子レベルで見る研究、すなわち遺伝子の発現制御、細胞内外の情報伝達、生体エネルギー変換等の仕組みを解き明かす研究を進めている。今後は、ゲノム塩基配列に示される生命の設計図からどのようにして生命が創造されていくのかを蛋白質科学の立場から明らかにしていく。そのために、膜蛋白質、遺伝子制御蛋白質を中心とした超分子システムの構造と機能の研究を通して生命秩序形成のメカニズムを明らかにしていく必要がある。本研究所は今後も、全国および世界の蛋白質研究者に共同研究の場と研究交流の場を提供することにより、これらの課題のための研究ネットワークづくりを進める所存である。

展望

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