論文掲載:One-pot 4 segment ligation法によるヒトsuperoxide dismutaseの合成  (T. Takei et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 15708 –15711 (2017)

概要
大阪大学蛋白質研究所の北條裕信教授らの研究グループは、4つのペプチドセグメントを連続的に縮合して効率よくタンパク質を合成する手法を開発しました 。

タンパク質の化学合成は、ペプチドチオエステルと別のペプチドセグメントを化学選択的に縮合することによって達成されます。一般的に、タンパク質の精製過程における回収率の低下は大きな問題ですが、本研究グループは既にこの問題の解決策として、芳香族チオエステルとアルキルチオエステルの反応性の差を利用し、3つのペプチドセグメントを精製することなく連続的に縮合する手法を開発しています。しかし、より大きなタンパク質を効率的に合成するためには、それ以上の数のペプチドセグメントを連続的に縮合することの出来る手法の開発が望まれていました。

そこで本研究では、硫黄の同族元素であるセレンを含むセレノエステルに着目し、4つのペプチドセグメントを連続的に縮合する手法を開発しました。芳香族セレノエステルは、芳香族チオエステルと比較して非常に高い反応性を持ち、活性化剤を添加することなく、塩基性条件下で速やかにペプチド結合を形成します。そこで、本研究グループが既に開発していた縮合法と組み合わせたところ、153残基のアミノ酸からなる酵素、スーパーオキシドディスムターゼ (SOD) の全長配列を一度も精製することなく合成することに成功しました。また、一般的にセレノエステルはいくつかの合成過程を経ないと得ることはできませんが、以前に北條グループの 開発したN-alkylcysteine (NAC) 法を適用した簡便な合成法も確立されました。

本研究によって開発された縮合法及びセレノエステルの合成手法は、様々なタンパク質の合成に応用できるため、タンパク質の合成研究の発展に寄与することができると考えられます。

本研究成果は、2017年11月3日 Angewandte Chemie International Editionに掲載されました。

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. 芳香族セレノエステルを用いた4つのペプチドセグメントの連続的縮合法

 

【本件に関する問合せ先 】

大阪大学蛋白質研究所 蛋白質有機化学研究室
教授 北條裕信
Tel: 06-6879-8601
E-mail: hojo[at]protein.osaka-u.ac.jp