2012年度 内藤記念科学振興賞 受賞

<受賞者>  月原冨武(名誉教授)
<受賞研究名>『X 線結晶構造解析による生体超分子の構造形成と作動機構の研究』

タンパク質や核酸の複合体である生体超分子は単独のタンパク質にはない、高度な機能をもっている。構造決定が困難とされていた生体超分子の X 線結晶構造解析を行い、それらの構造形成と働きの仕組みを明らかにすることによって、生命現象の理解を深めた。

ウシのシトクロム酸化酵素は高等生物の最初の膜タンパク質複合体の構造であり、13種26サブユニット構造は、当時最も複雑な組成であった。構造に基づいて生体が利用可能なエネルギーを生産する仕組みを解明した。分子量5000万を越える2重殻ウイルス、分子量1000万の核酸タンパク質複合体ボルト、14種28サブユニットからなるウシ肝臓の20Sプロテアソームの構造を決定し、タンパク質が自律的に集合して構造を形成する仕組みを明らかにした。離合集散して働くインポーティンβやイクスポーティン-5とそれぞれの担体との複合体の構造を決定して、核膜孔を介した輸送の仕組みを解明した。隣接する2つの細胞の原形質膜を貫通するギャップ結合チャネルの構造を決定して、隣接する細胞の働きを調節する仕組みを明らかにした。いずれも最先端の構造研究によって、生体超分子の機能研究を飛躍的に進展させた。