Press Release: 世界初 ミクログリア特異的分子CX3CR1 の遺伝子変異と 精神障害の関連を同定

名古屋大学大学院医学系研究科(研究科長・門松健治)精神医学・親と子どもの心療学の尾崎紀夫(おざき のりお)教授、Aleksic Branko(アレクシッチ ブランコ)准教授(責任著者)、石塚佳奈子(いしづか かなこ)助教(筆頭著者)、大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科の山下俊英(やました としひで)教授、同蛋白質研究所の川端猛(かわばたたけし)寄附研究部門准教授と中村春木(なかむら はるき)教授らの研究グループは、脳内免疫細胞ミクログリアにおいて特異的に発現するCX3CR1 をコードする遺伝子上のアミノ酸置換変異が統合失調症・自閉スペクトラム症の発症リスクに関与しうることを世界で初めて示しました。

 

本研究は、理化学研究所、岡山大学、新潟大学、藤田保健衛生大学、国立国際医療研究センター国府台病院との共同研究で行われました。
脳内の免疫細胞として知られるミクログリアは、発達期に過剰に作られた神経細胞間シナプスを適切に刈り込むという神経発達上の役目を担います。この刈り込みの異常は、統合失調症や自閉スペクトラム症など精神障害の病態仮説の一つと考えられてきました。この神経細胞間シナプス刈り込みにおいて重要な役割を果たすのがミクログリア特異的分子CX3CR1 です。死後脳研究やモデル動物研究によってCX3CR1 の量的異常と統合失調症や自閉スペクトラム症の病態が関連づけられてきました。しかし、これまでCX3CR1 の遺伝子上の変異と両疾患を関連づける報告はありませんでした。
本研究は、CX3CR1 をコードする遺伝子上の一塩基変異を探索し、検出したアミノ酸置換変異と両疾患の関連を統計学的に裏付けました。この変異探索は、統合失調症および自閉スペクトラム症患者と健常者合計7,000 人を超える人々の協力によって得られたゲノムを用いています。さらに三次元構造解析と機能解析を行い、検出したアミノ酸置換変異がCX3CR1 の機能に変化をもたらすことを明らかにしました。ミクログリア特異的分子をコードする遺伝子上のアミノ酸置換変異が統合失調症や自閉スペクトラム症に関連することを世界で初めて明らかにした本研究成果は、両疾患の生物学的基盤や病態解明に寄与する重要な知見と考えます。
本研究成果は、平成29 年8 月1 日15 時(英国時間)に、英国のオンライン科学誌「Translational Psychiatry」に掲載されます。

 

詳しいご説明は   Press-Release-0801.pdf

 

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