Press Release: 統合失調症に関連する遺伝子変異を22q11.2 欠失領域の RTN4R 遺伝子に世界で初めて同定

名古屋大学大学院医学系研究科(研究科長・門松健治)精神医学講座の尾崎紀夫(おざき の りお)教授、AleksicBranko(アレクシッチ ブランコ)准教授(責任著者)、木村大樹(きむ ら ひろき)助教(筆頭著者)らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科の山下俊英(やました としひで)教授、同蛋白質研究所の川端猛(かわばた たけし)寄附研究部門准教授および中村 春木(なかむら はるき))教授らの研究グループとの共同により、統合失調症発症の最大のリスクである22q11.2欠失領 域に存在する Reticulon 4 receptor (RTN4R)遺伝子内に、統合失調症病態に強い関連を示すア ミノ酸配列変異(RTN4R-R292H)が存在することを、世界で初めて同定しました。

RTN4R は22q11.2 欠失内に存在し、さらに神経軸索伸張や神経細胞のスパイン形態に密接に関わるNogo 受容体をコードしており、統合失調症発症への関与が示唆されておりましたが、実際に統合失調症患者内に存在する変異が如何に、統合失調症の発症に関与するのかは不明でした。
本研究では、約2000 名の統合失調症患者のゲノム解析(理化学研究所、藤田保健衛生大学、岡山大学との共同研究)を通じて、RTN4R-R292H 変異が統合失調症と統計学的に有意な関連を示すことを示しました。
本変異を有する患者間で共通する症状の特徴は見出されませんでしたが、計算機によるタンパク質の立体構造モデルにより、RTN4R と結合して機能する分子であるLINGO1 との相互作用部位にRTN4R−R292H が存在し、RTN4R−R292H によりLINGO1 との相互作用が変化することが予想されました。その後実施した細胞レベルのin vitro 機能解析により、本変異はLINGO1 との結合性の低下を起こすこと、また神経細胞の成長円錐の形成に影響を与えることが判明しました。
本研究により同定された一塩基変異は、統合失調症の疾患モデルを説明する上で有望であり、同変異を有する細胞や動物モデルは、統合失調症の病態解明だけでなく、新規の治療薬や診断方法の開発に役立つことが期待されます。
以上の研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「脳科学研究戦略推進プログラム(発達障害・統合失調症等の克服に関する研究)」「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」、新学術領域「包括型脳科学研究推進ネットワーク」「グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態」の支援を受けて行われました。
本成果は、英国オンライン科学雑誌「Translational Psychiatry」(2017 年8 月22 日付の電子版)に掲載されます。

 

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