Press Release: 菌体の2 つの膜を貫く輸送複合体の可視化― 抗菌剤を菌体外に排出し、多剤耐性化する仕組みを解明

大阪大学蛋白質研究所の堤研太大学院生(当時。現 特任研究員)、米原涼特任研究員(当時。現 株式会社Epsilon Molecular Engineering 研究員)、岩崎憲治准教授(当時。現 筑波大教授)、中川敦史教授、山下栄樹准教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法 を用いて、院内感染で問題になる多剤耐性緑膿菌で働く薬剤排出膜タンパク質複合体MexAB-OprM の構造解析に世界で初めて成功し、菌体内で複合体が構築される仕組みや薬剤排出の新しい制御機構を明らかにしました。


耐性菌が発現する一つの原因として、菌体にとって毒物である抗菌剤を薬剤排出タンパク質複合体が菌体外に排出してしまい抗菌剤を効かなくしていることが挙げられています。薬剤排出タンパク質複合体は環境の異なる膜にある2 種類の膜タンパク質と1種類のタンパク質から構成されており、これまでに、各構成タンパク質の構造は明らかにされていました。しかし、これら3種類のタンパク質がどのように連携して複合体を形成し、菌体内に侵入してきた抗菌剤を排出しているのかは解明されていませんでした。
今回、山下准教授らの研究グループは、薬剤排出タンパク質複合体を安定に単離する方法を発見し、クライオ電子顕微鏡による単粒子構造解析法を用いて菌体内で働いている薬剤排出タンパク質複合体の構造を決定しました。今回決定した構造から複合体の構造形成に必須のアミノ酸残基や薬剤の排出過程の鍵となる動きを見出し、変異体を用いた解析により薬剤耐性が下がることを確認しました。これにより、複合体形成を阻害する化合物や複合体としての排出過程を阻害する化合物を開発できれば、新規の抗菌剤の開発に繋がる可能性があります。

本研究成果は、英国の科学誌「Nature Communications」に、4 月3日(水)18 時(日本時間)に公開されました。

 

詳しいご説明はこちら  Press-Release-190403.pdf

 

【本件に関する問合せ先】

大阪大学蛋白質研究所
准教授 山下 栄樹
TEL: 06-6879-8635
FAX: 06-6879-4313
Email: eiki[at]protein.osaka-u.ac.jp