Press Release: 遺伝子の入れ替えをコントロールするメカニズムを解明-ゲノム編集や不妊治療への応用に期待ー

大阪大学蛋白質研究所の篠原彰教授、松嵜健一郎助教(当時。現近畿大学農学部助教)らの研究グループは、ヒト・マウスにおいてDNA交換反応の相同組換えがアクセル因子とブレーキ因子の相互作用と協調的な働きによって調節されていることを世界で初めて明らかにしました。

 生体内でのDNA同士の交換反応である相同組換えは、DNAの傷を修復する重要な生体反応の1つです。細胞が増える時や子孫を残す時のゲノム情報の安定な継承に必須の役割を果たしています。適切ではない組換えが起きると、染色体上の遺伝情報の不安定化が起き、細胞のガン化につながります。遺伝性の乳がんの原因遺伝子BRCA1/2は組換えに関わることが知られています。このため、生体内で、組換えは適切にコントロールされる必要があります。これまではBRCA1/2に代表される、組換えを正に制御するアクセル役の因子についてはよく研究されてきましたが、ブレーキ役や、ブレーキ役とアクセル役の因子の協調的働きによる、組換えの制御の分子メカニズムについては解明されていませんでした。

今回、篠原教授、松嵜助教らの研究グループは、組換えのブレーキ役の新規タンパク質・遺伝子とこれを阻害するタンパク質・遺伝子を発見しました。2者のタンパク質の機能を明らかにすることで、生体内でのDNA同士の交換反応である相同組換えを適切に制御するメカニズムを解明しました。また、この仕組みがマウスでの精子・卵形成に必要不可欠であることも発見しました。今後、今回発見したタンパク質の機能を人工的にコントロール出来るようになれば、ゲノム編集による遺伝子改変や遺伝子組換え技術の最適化、組換えの欠損による不妊や発ガンの治療、あるいは効率的な育種の作成への応用が期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Communications」に、329日(金)19時(日本時間)に公開されました。

 

詳しいご説明はこちら  Press-Release-190404.pdf

 

【本件に関する問合せ先】

大阪大学蛋白質研究所 ゲノム染色体機能研究室
教授 篠原彰(しのはらあきら)

TEL06-6879-8624
FAX: 06-6879-8626
E-mail: ashino[at]protein.osaka-u.ac.jp