Ragulatorの結晶構造を解明(Nat. Commun. 誌に発表)

大阪大学蛋白質研究所の米原涼特任研究員らは、大阪大学蛋白質研究所中川研究室、大阪大学微生物病研究所岡田研究室、九州大学生体防御医学研究所中山研究室、大阪大学微生物病研究所Standley研究室との共同研究により、Ragulatorの結晶構造を解明しました。

細胞はアミノ酸やエネルギーの状態によって自身の代謝を調節しています。この時リソソーム膜上では、細胞内部の栄養シグナルを集約してタンパク質や脂質の合成、あるいは分解を誘導するmTORC1 (Mechanistic Target Of Rapamycin Complex 1)が働いており、そのキナーゼ活性がRagulatorタンパク質複合体によって制御されています。この研究ではRagulator複合体の5つのサブユニットと、RagulatorとmTORC1の相互作用を橋渡しするRag GTPaseの2つのRoadblockドメインを含むタンパク質複合体の立体構造がX線結晶構造解析により決定されました。この構造ではRagulatorの構成タンパク質のうち、Roadblockタンパク質であるp10とHBXIP、およびp14とMP1はそれぞれヘテロダイマーを形成し、さらにRag GTPaseであるRagAとRagCのそれぞれC末のRoadblockドメインもヘテロダイマーを形成していました。3つのRoadblockヘテロダイマーがHead-to-Tail様式で並んで配置し、それらの外側をp18がひも状に伸びた状態で絡みつくことで全体の構造を安定化させるという特異な構造が見出されました。この構造を足場とすることで、アミノ酸シグナルがRag GTPaseの構造を変動させ、それがmTORC1の活性調節につながると考えられます。

 

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※1 )mTORC1(mTOR複合体)

mTORはアミノ酸などの栄養源やエネルギーを感知して細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼで、細胞の成長やストレス応答など様々な生理作用に関与している。mTORC1のリソソーム膜表面へのリクルートは、その活性化に必須のステップであり、今回の研究の主役であるRagulatorタンパク質とRag GTPaseが重要な役割を果たしている。