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2009.9.1

固体NMRで何ができるの?

固体NMR法は構造生物学に特別ユニークな寄与をなす。特に目を惹くのは非常に幅広い試料を測定できる事、また対象の分子量に原理的な上限も無いことである。これは有効な別の二つの方法、即ちX線結晶回折法が単結晶を、溶液NMR法が水溶性で、かつ分子量だいたい20kDa以下の蛋白質を要求するのに対する強みである。

これによって脳神経疾患をおこすアミロイド繊維や細胞膜中で外界とのインターフェイスとして信号や物質の移動に関与する膜タンパク質など、結晶にならず、水にも溶けないものを研究対象にできる。これらは生理的、病理的に重要なのはわかっているが解析手段の欠如のために構造研究が遅れているものばかりである。

ただし、固体NMRの方法論はこの10年で相当に確立されてきたものの、まだ全てがルーチンワークというわけにはいかない。しかしそこがいいのだ。つまり何かを調べたい!と思ったら、自らの手で必要な実験法、解析の方法論を一から構築する必要が出たりする。これは骨が折れるがおもいしろい。研究の核心部分である。