発表論文

Press Release:キンギョの全ゲノム解読により脊椎動物の進化の謎に迫る ―新型次世代DNAシーケンサーを使って全ゲノム重複と進化の謎解明に道筋―

大阪大学蛋白質研究所・分子発生学研究室(古川貴久教授)の大森義裕招へい教授(当時准教授。現 長浜バイオ大学教授)らの研究グループは、国立遺伝学研究所・川上浩一教授、藤山秋佐夫特任教授、愛知県水産試験場内水面漁業研究所弥富指導所、および米国国立衛生研究所(NIH)Shawn Bargess上席研究員らと共同でキンギョの全ゲノム配列を世界で初めて解読し、キンギョの祖先種(フナの仲間)のゲノムが約1400万年前に倍加したことや(全ゲノム重複)、倍加した遺伝子群の一部が進化の過程で淘汰されたり、新たな発現パターンを獲得したりする様子を明らかにしました(図1)。

Press Release:高齢者に多いアミロイド病の予防・治療の進展に貢献-ポリリン酸が引き起こす蛋白質異常凝集体の形成機構を解明

大阪大学蛋白質研究所後藤祐児教授のグループは、新潟大学医学部、福井大学医学部、ハンガリーのエトヴァッシュ・ローランド大学と共同で、透析アミロイドーシス(アミロイド病)の原因蛋白質であるβ2ミクログロブリンのアミロイド線維形成が、ポリリン酸によって促進されることを発見しました。

Press Release:丈夫かつ開閉可能なタンパク質ケージを開発〜特異な形状と性質を有する網かご状ナノ粒子〜

国立大学法人筑波大学生存ダイナミクス研究センター(TARA) 岩崎憲治教授、宮崎直幸助教(研究当時、大阪大学蛋白質研究所)、ヤギェウォ大学(ポーランド) Jonathan G. Heddle教授らの研究グループは、新たに開発した網かご状タンパク質について、最新鋭のクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により、その構造を明らかにしました。

Press Release:ウイルスが翻訳装置を乗っ取る仕組み-C型肝炎ウイルスゲノムRNAは翻訳中のリボソームを捕まえる-

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター翻訳構造解析研究チームの伊藤拓宏チームリーダー、岩崎わかな専任研究員、タンパク質機能・構造研究チームの横山武司研究員、兵庫県立大学大学院工学研究科の今高寛晃教授、町田幸大助教、大阪大学蛋白質研究所の原田慶恵教授、多田隈尚史助教らの共同研究グループは、細胞に感染したC型肝炎ウイルス(HCV)がヒトの翻訳装置を乗っ取る新しい仕組みを発見しました。

Press Release:ブレークスルー必至! 多くの疾患に関与する 「Wntタンパク質」の立体構造をついに解明!! ~ほ乳類の発生研究、再生医療、がん研究などを加速させる大きな成果~

大阪大学蛋白質研究所の高木淳一教授のグループは、ヒトを含むあらゆる多細胞生物の発生と組織形成に必須であるタンパク質、Wnt(ウィント)を受容体との複合体の状態で結晶化し、その立体構造を解明しました。

Press Release:ヒト由来カルシウムポンプの高分解能構造と活性制御機構を解明~細胞内カルシウム恒常性維持機構の破綻が引き起こす疾病の原因解明に光~

東北大学多元物質科学研究所の井上道雄助教、渡部聡助教、稲葉謙次教授(生命科学研究科、理学研究科化学専攻兼担)、および奈良先端科学技術大学院大学の塚崎智也教授、大阪大学の高木淳一教授、東北大学未来科学技術共同研究センター/東北大学大学院医学系研究科の加藤幸成教授、京都産業大学の永田和宏教授らを中心とした共同研究グループは、JST 戦略的創造研究推進事業において、筋収縮の制御やアポトーシスの誘導など、様々な 生命現象において重要な役割をもつカルシウムイオンの恒常性を保つ上で必須のカルシウムポンプSERCA2bの高分解能構造を世界で初めて明らかにしました。

Press Release: 遺伝子の入れ替えをコントロールするメカニズムを解明-ゲノム編集や不妊治療への応用に期待ー

大阪大学蛋白質研究所の篠原彰教授、松嵜健一郎助教(当時。現近畿大学農学部助教)らの研究グループは、ヒト・マウスにおいてDNA交換反応の相同組換えがアクセル因子とブレーキ因子の相互作用と協調的な働きによって調節されていることを世界で初めて明らかにしました。

Press Release: 菌体の2 つの膜を貫く輸送複合体の可視化― 抗菌剤を菌体外に排出し、多剤耐性化する仕組みを解明

大阪大学蛋白質研究所の堤研太大学院生(当時。現 特任研究員)、米原涼特任研究員(当時。現 株式会社Epsilon Molecular Engineering 研究員)、岩崎憲治准教授(当時。現 筑波大教授)、中川敦史教授、山下栄樹准教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法 を用いて、院内感染で問題になる多剤耐性緑膿菌で働く薬剤排出膜タンパク質複合体MexAB-OprM の構造解析に世界で初めて成功し、菌体内で複合体が構築される仕組みや薬剤排出の新しい制御機構を明らかにしました。

論文掲載:二重殻ウイルスの粒子形成機構を解明「ウイルスキャプシドができる様子を位相差クライオ電子顕微鏡で解析」

 大阪大学蛋白質研究所の中道優介特任研究員(現:産業技術総合研究所研究員)、宮崎直幸助教、堤研太氏(D3)、東浦彰史助教(現:広島大学医歯薬保健学研究科助教)らは、大阪大学蛋白質研究所・中川研究室、高木研究室、生理学研究所・脳機能計測・支援センター村田研究室との共同研究により、ウイルス粒子が構築される過程で生じる中間体の立体構造を決定し、ウイルス粒子が階層的に構築されることを世界で初めて明らかにしました。

 多くのウイルスは、その遺伝子が正二十面体構造をした蛋白質の殻で覆われています。その中でレオウイルス科ウイルスは、さらに異なるパターンの多層の殻(キャプシド)で覆われた特徴的な構造をしています。レオウイルス科ウイルスとしては、乳児下痢症を引き起こすロタウイルスがよく知られています。限られた種類の蛋白質が互いを認識しながら数100以上集まってキャプシドを形成しますが、どのように互いの分子を認識し、正しい構造を作るかについては、これまで実験的にわかっていませんでした。本共同研究では、レオウイルス科ウイルスの1つイネ萎縮ウイルス(Rice Dwarf Virus)略してRDVを用いて、パターンの異なる多層のキャプシドを形成する様子を遺伝子組み換え技術と位相差クライオ電子顕微鏡により明らかにしました。

 RDVは内殻をT=1、外殻をT=13と呼ばれる2層の異なるパターンの正二十面体キャプシドで覆われています。本研究では、外殻を形成する蛋白質に遺伝子組み換え技術を用いて緑色蛍光蛋白質(GFP)を結合し、これを用いてウイルス粒子を形成させました。その結果、GFPが立体的に邪魔をして不完全な外殻を持つRDV粒子を作ることができました。これを位相差クライオ電子顕微鏡で解析したところ、RDVの外殻は、内殻の特定の領域(3回軸上)にだけ結合することがわかりました。このことから、RDVの外殻蛋白質は、最初に内殻の3回軸上に結合し、これを元にパズルのピースを組み合わせるように順次挿入されて行くことがわかりました。 本研究により、多層の殻を持つレオウイルス粒子がどのように形成されて行くかを世界で初めて明らかにしたことで、レオウイルスが感染、増殖、伝播する生活環の全体像の理解がさらに深まっただけでなく、この結果を用いて効率的に粒子形成を阻害することで、レオウイルス感染症の予防法や治療薬の開発に応用できると期待されます。

論文情報:
An Assembly Intermediate Structure of Rice Dwarf Virus Reveals a Hierarchical Outer Capsid Shell Assembly Mechanism, Yusuke Nakamichi, Naoyuki Miyazaki, Kenta Tsutsumi, Akifumi Higashiura, Hirotaka Narita, Kazuyoshi Murata, Atsushi Nakagawa, Structure, 27(3), 439-448, 2019
doi: https://doi.org/10.1016/j.str.2018.10.029

論文は、下記サイトより、 2019年4月24日までの間ダウンロードできます

https://authors.elsevier.com/a/1YgIa3SNvbqscV