発表論文

Press Release: 味を感知する受容体のセンサー領域の立体構造を初めて解明

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬) のニパワン・ヌアムケット特任助教(研究当時)、安井典久助教、山下敦子教授らと、理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、自然科学研究機構分子科学研究所 、東北大学、大阪大学の共同研究グループは、 口の中で味物質の感知を担う味覚受容体タンパク質について、受容体の主要部分である細胞外のセンサー領域が、味物質を結合している状態の構造を解明することに成功しました。五感を担うセンサータンパク質のうち、味覚の受容体の立体構造が明らかになったのは、これが初めてです。本研究成果は 5月23 日英国時間午前 10時(日本時間午後 6時)、英国の科学雑誌「Nature Communications」に掲載されます。

Press Release: 新規人工インスリン「セレノインスリン」の化学合成と機能解明に成功

東海大学、東北大学、大阪大学の共同研究グループ

新規人工インスリン「セレノインスリン」の化学合成と機能解明に成功

~体内での薬効が長時間持続する新規インスリン製剤への応用に期待~

東海大学(所在地:神奈川県平塚市北金目4-1-1、学長:山田清志〔やまだきよし〕)理学部化学科講師の荒井堅太および同学科教授の岩岡道夫、ならびに東北大学(所在地:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1、総長:里見進〔さとみすすむ〕)学際科学フロンティア研究所(多元物質科学研究所兼任)助教の奥村正樹、多元物質科学研究所の渡部聡および同研究所(生命科学研究科および理学研究科化学専攻兼任)教授の稲葉謙次、大阪大学(所在地:大阪府吹田市山田丘1-1、総長:西尾章治郎〔にしおしょうじろう〕)蛋白質研究所教授の北條裕信らの研究グループは、天然のインスリン(ウシ膵臓由来)に含まれるジスルフィド結合*1の一つをジセレニド結合*2に置換した新規人工インスリン「セレノインスリン」の化学合成に成功いたしました。これにより、糖尿病治療において、体内での薬効が長時間持続する新規インスリン製剤としての応用が期待されます。

なお、本研究成果は、410日(月)付でドイツの国際化学誌「Angewandte ChemieInternationalEdition」電子版に掲載されました。

https://doi.org/10.1002/anie.201701654

https://twitter.com/angew_chem/status/851495297465372672

DOI:10.1002/anie.201701654

 

■本研究成果のポイント

◇ セレン原子の高い反応性を利用した効率的な新規人工インスリン「セレノインスリン」の化学合成法を確立した。

◇ 「セレノインスリン」は天然のインスリンと同等の立体構造と生物活性を持つ。

◇ 「セレノインスリン」は体内に存在するインスリン分解酵素(IDE*3に対して高い分解耐性(分解するまでの時間が長い)を示す。体内で長時間にわたり循環・作用する新しいタイプの持効型インスリン*4の応用に期待される。

 

詳しいご説明は Press-Release_0411.pdf

 

 

本件に関するお問い合わせ

大阪大学蛋白質研究所

担当: 北條裕信 TEL.06 -6879-8601(直通 )

Press Release: 低ノイズ・低粘着性・低コストのタンパク質結晶輸送媒体を発見

要旨

理化学研究所(理研)放射光科学総合研究センターSACLA利用技術開拓グループの菅原道泰特別研究員、岩田想グループディレクター(京都大学大学院医学研究科教授)、京都大学大学院農学研究科の桝田哲哉助教、大阪大学蛋白質研究所附属蛋白質解析先端研究センターの鈴木守准教授、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室の登野健介チームリーダーらの共同研究グループ※は、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA[1]」のX線レーザーを用いた「連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)[2]」(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)において、タンパク質結晶輸送媒体として「ヒドロキシエチルセルロース[3]」を用いると、コストを抑えつつ、結晶を安定供給し、測定ノイズも低減できることを発見しました。

Press Release: 酵素の立体構造、「SACLA」のX 線レーザーを用いて 常温、原子分解能構造解析に成功

【概要】
桝田哲哉 農学研究科助教、岩田想 医学研究科教授(理化学研究所グループディレクター)、菅原道泰 理化学研究所特別研究員、鈴木守 大阪大学蛋白質研究所准教授、登野健介高輝度光科学研究センターチームリーダーらの共同研究グループは、X 線自由電子レーザー(以下、XFEL:X-ray Free-Electron Laser)施設「SACLA」を用いた「連続フェムト秒結晶構造解析(以下、FX)」という手法を使い、酵素の一種である「プロテイナーゼK」の構造を原子分解能での解析に成功しました。SFX を用いて原子分解能で構造決定した初めての成果です。今回の研究では、SACLA の高エネルギービーム特性を活かし「プロテイナーゼK」の1.20 Åの原子分解能での解析に成功しました。原子分解能による解析では、各原子を独立して見分けることができ、原子間の距離を正確に見積もることができます。また、水素原子の一部を可視化、窒素と酸素の原子種を区別することも可能です。また、今回の成果の特徴は解析を原子分解能かつ常温で行ったことにあります。凍結結晶の解析結果とは異なった、常温特有の「タンパク質側鎖や水分子の動き」を確認できたのは大きな進歩です。また非凍結結晶との比較でも、放射線による損傷のない構造が得られ、これまで見出されていなかった部位での「水分子の存在」が確認できました。本手法を用いた常温特有の「タンパク質や水の動き」、「酵素反応機構」が明らかとなることで、医薬品や機能性素材の設計開発など、医療や工業への幅広い応用も期待されます。本成果は、2017 年3 月31 日に英国の科学雑誌Scientific Reports に掲載されます。

【波及効果、今後の予定】
高分解能結晶構造解析は放射線による試料の損傷を防ぐため、急速に結晶を凍結する手法やX 線の照射位置を順次変えるような手法を用いて行われています。しかしながら、凍結処理を行うことにより結晶が収縮したり、モザイシティ(結晶内の配向の度合いを示す概念的な指標)が低下したりする現象や、タンパク質の活性部位に凍結に用いる抗凍結剤などが封入され機能を阻害する弊害なども知られています。また凍結に伴いタンパク質分子表面の水分子の配置やタンパク質の側鎖構造が変化し、タンパク質内部にも影響を及ぼすなどの事例も指摘されています。そのため人為的な影響が少なく、生理的な温度下での精度の高い構造情報が、タンパク質-リガンド間の精緻な相互作用解析に有益な知見を与えます。
本成果で得られた技術や手法を用いて、常温特有のタンパク質や水分子の動き、酵素反応機構を明らかとすることで、医薬品や機能性素材の設計開発など、幅広い応用利用が期待されます。

 

詳しくは Press-Release_170331.pdf

 

<お問い合わせ先>
【研究内容に関すること】
桝田 哲哉(ますだ てつや)助教
京都大学大学院農学研究科
Email: t2masuda@kais.kyoto-u.ac.jp
Tel:0774-38-3741 携帯:090-4904-4139

菅原 道泰 (すがはら みちひろ)特別研究員
理化学研究所放射光科学総合研究センター
Email: msuga@spring8.or.jp
Tel: 0791-58-2871

鈴木 守 (すずき まもる)准教授
大阪大学蛋白質研究所附属蛋白質解析先端研究センター
Email: mamoru.suzuki@protein.osaka-u.ac.jp
Tel: 06-6879-8637

登野 健介 (との けんすけ)チームリーダー
高輝度光科学研究センター XFEL 利用研究推進室
先端光源利用研究グループ 実験技術開発チーム

Press Release: 難聴を引き起こす新たな酵素を同定 -内耳発生のメカニズムや難聴の病態解明に貢献-

【概要】
大阪大学蛋白質研究所の古川貴久教授、茶屋太郎助教、及び岡本志央、坂口博史准教授(京都府立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室)の研究チームは、繊毛内の蛋白質輸送を制御する酵素が内耳の発生に重要な役割を果たしており、聴覚機能に必須であることを示しました。この成果は内耳の発生における酵素の重要性を明らかにし、今後の難聴の病態解明に繋がるものです。

Press Release: ガン増殖を引き起こすタンパク質Sin1の構造を明らかに ~分裂酵母の研究が新たな抗ガン剤創薬への扉を開く

【概要】
奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大 学長:小笠原直毅)バイオサイエンス研究科の塩﨑一裕教授、建部恒助教、横浜国立大学大学院工学研究院の児嶋長次郎教授(大阪大学蛋白質研究所特任研究員)らの共同研究グループは、ヒト発ガンの主因の一つであるAKTというタンパク質に結合してその活性化を制御するタンパク質複合体の仕組みについて、その中のSin1と呼ばれるタンパク質が結合する部位の構造を世界で初めて明らかにしました。

Press Release: 細胞外マトリックスを用いてヒト多能性幹細胞から高効率に血管内皮細胞の誘導に成功

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の齋藤潤准教授グループと、大阪大学蛋白質研究所の関口清俊寄付研究部門教授グループらの共同研究チームは、細胞外マトリックスのひとつラミニン411(LM411)の組換えタンパク質断片(LM411-E8)を用いることにより、ヒト多能性幹細胞注3)から正常機能を有する血管内皮細胞を高効率に分化誘導する手法の開発に成功しました。

Press Release: ガンの浸潤や骨粗鬆症の原因となるタンパク質の働きを阻害するペプチドを創製 ~新薬設計時の新たな作用領域として期待~

蛋白研の高木淳一教授のグループは、東大・菅裕明教授のグループと共同で、臓器形成や免疫応答を司る中心的なタンパク質であり、ガンの浸潤にもかかわるSema4D(セマフォリン4D)の受容体、PlxnB1(プレキシンB1)へ強く結合する環状ペプチドPB1m6の取得に成功しました。そして、その PB1m6がPlxnB1の機能を阻害することを証明しました。

蛋白質研究所・金城玲准教授らによるPDBj活動に関する学術論文 “Protein Data Bank Japan (PDBj): updated user interfaces, resource description framework, analysis tools for large structures” がNucleic Acids Researchから刊行されました。

蛋白質研究所・金城玲准教授らによるPDBj活動に関する学術論文“Protein Data Bank Japan (PDBj): updated user interfaces, resource description framework, analysis tools for large structures”がNucleic Acids Researchから刊行されました。