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Research研究内容

蛋白質は20種類のアミノ酸がペプチド結合で結合した1本の長い生体高分子です。
そのアミノ酸配列というプログラムに従って、自発的に決まった立体構造を取り、センサーであったり、モーターであったり、おおよそ人間が考えうるあらゆる機能を持つ機械として働きます。
それらナノサイズの分子機械がどのように立体構造を取っており、どのようなメカニズムで機能を発揮するかを明らかにするために、クライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)を使った構造解析を行っています。

分子モーターの作動メカニズムの解析

べん毛フックの構造
蛋白質は生体中で柔軟に構造変化を繰り返してその機能を発揮しています。回転する分子モーターであるべん毛モーターや、ATPaseなどはその代表で、運動をする過程で、非常に大きな構造変化を伴い、少ないエネルギーで効率的に運動することができます。 このメカニズムを明らかにするためには、それら分子モーターが動作している最中の構造変化をとらえる必要があります。 クライオ電顕では、いろいろな構造状態の画像を撮影し、それをつなぐことで運動している様子を可視化することができます。 そのようにして機能状態の構造解析からメカニズムを明らかにします。

図1:べん毛フックの構造
べん毛は曲がった状態が機能状態であり、この形のまま構造解析ができる手法はクライオ電子顕微鏡しかない。

嗅覚受容体の構造解析

嗅覚受容体
人は約400種類ほどある嗅覚受容体によって何万という匂いをかぎ分けることができます。 この嗅覚受容体はG蛋白質共役受容体(GPCR)ファミリーに属する7回膜貫通型蛋白質です。 揮発性である匂い分子がこの嗅覚受容体に結合している状態の構造解析の例はほとんどなく、どのように匂い分子を認識、結合しているのかは計算による結果がほとんど です。 そこでクライオ電顕を用いて匂い分子結合状態の構造解析を行います。

図2:嗅覚のメカニズム 提供 中村祥大さん

クライオ電子顕微鏡撮影法及び解析法の開発

Titan_Talos
かつてのクライオ電顕の分解能は低く、それ単体で原子モデル子を構築することが不可能でした。 ですが、2013年ごろに開発された新しい電顕用のカメラの登場によって、他の方法では解析できないような大きな複合体や膜蛋白質の構造が原子分解能で解析できるようになりました。 その結果、現在では結晶化が困難と思われる蛋白質についてまず第一にクライオ電顕が使われるようになりました。このように急速に発展してきたクライオ電子顕微鏡ですが、今もって発展途上にあり、まだまだ多くのポテンシャルを秘めています。その能力を最大限引き出すための撮影方法や解析方法の開発を行っています。

図3 左:Titan Krios 右:Talos Arctica
蛋白質研究所には世界最高レベルのクライオ電子顕微鏡とスクリーニング用の電子顕微鏡が1台あり、蛋白質の構造解析をスムーズに行う環境が整っている。

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