<受賞者> 月原 冨武
(蛋白質研究所/名誉教授)
<受賞研究名> 「生体超分子の構造と機能の解明」
<受賞理由>
月原名誉教授は,生体超分子複合体の構造解析研究を通して, X線結晶構造解析の可能性を飛躍的に拡げるとともに,日本のタンパク質結晶学を世界のトップレベルへと引き上げた.また,その研究成果は,生命科学の分野に多大な影響を与えた.
代表的な研究成果の1つに膜タンパク質チトクロム酸化酵素の構造解析が挙げられる.この構造解析は,高等生物由来の膜タンパク質として世界初の原子レベルの構造解析であるだけでなく, X線結晶学が生命科学研究のブレークスルーとなることを示した特筆すべき研究成果として高く評価される.
これに加えて,分子量1000万を超える巨大な核タンパク質複合体ボルト,ウシ肝臓20Sプロテアソーム,離合集散型の生体超分子複合体であるインポーチンβ/転写因子複合体やエクスポーチン5/RanGTP/pre-miRNA複合体,ギャップ結合チャンネル,タバコネクロシスウイルスやイネ萎縮ウイルスなど,数多くの生体超分子複合体の構造解析を通して,従来のタンパク質結晶学の限界を超えた新しい領域を切り拓いた.
月原名誉教授は,わが国のタンパク質結晶学の発展に指導的役割を担い,現在の構造生物学の隆盛を導き,構造の重要性とX線結晶学の偉力を関連する科学領域に認識させることに大きく貢献した.