最新研究成果

Press Release: 老化に伴う動体視力低下のメカニズムを解明しました。

2015年2月 6日

 大阪大学蛋白質研究所分子発生学研究室の古川貴久教授と佐貫理佳子助教らの研究グループは、網膜視細胞のシナプスが正常な位置に形成されるしくみを明らかにし、動体視力に必須であることを示しました。この成果は神経回路において神経細胞のシナプスが一定の位置に形成される意義を明らかにし、また高齢ドライバーの運転能力低下への関与が考えられている老化に伴う視覚能力の低下のメカニズムの解明につながるものです。

◆研究の背景と成果の内容
網膜や脳などの中枢神経組織では特定の決まった場所でシナプス(神経細胞同士の結合部)を形成していることが19世紀始め頃から既に知られていましたが、シナプスは神経細胞同士が正常に結合していればその場所自体は特に機能に関係していないと考えられてきました。一方で、網膜では老化に伴って視細胞のシナプス位置が移動することが知られていました(図1A)。神経回路の発生においてシナプスが決まった場所で形成される必然性はあるのか、あるとすればその機能的意義は何か、その分子メカニズムは何であるのか、老化網膜におけるシナプス位置の移動は視覚機能に影響するのか、などは適切なモデル動物が存在せず解明が進んでいませんでした。当研究グループは、網膜視細胞のシナプス形成の研究から、視細胞のシナプス側の膜輸送に関わる4.1Gタンパク質を同定しました。4.1G欠損マウスの網膜では、本来、細胞体層の外側にある外網状層に形成されるはずの視細胞のシナプスが細胞体のそばで異所性に形成されていることを見出しました(図1B)。さらにシナプスの位置の異常は4.1Gタンパク質を介した膜輸送機能が低下することによって生じることを明らかにし、4.1G欠損マウスにおいては動体視力が低下していることも見出しました(図2)。これらの結果から、4.1Gタンパク質が視細胞のシナプスの位置決定に必須であることを明らかにするとともに、シナプスが一定の場所で形成されることが正常な視覚機能に必須であることを証明しました。 PRimage_20150202.jpg

詳しいご説明 (阪大プレスリリース)
掲載誌; Cell Reports


◆本件に関する問合せ先
   大阪大学蛋白質研究所 分子学研究室(古川ラボ)
   電話/FAX 06-6879-8631/06-6879-8633

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