最新研究成果

The cytoplasmic coiled-coil mediates cooperative gating temperature sensitivity in the voltage-gated H+ channel Hv1

2012年5月 9日

The cytoplasmic coiled-coil mediates cooperative gating temperature sensitivity in the voltage-gated H+ channel Hv1

(電位依存性H+チャネルのコイルドコイルは協調的ゲーティングと温度感受性を調節する)

Yuichiro Fujiwara, Tatsuki Kurokawa, Kohei Takeshita, Megumi Kobayashi, Yoshifumi Okochi, Atsushi Nakagawa, Yasushi Okamura

Nature Communications 3, Article number: 816 doi:10.1038/ncomms1823

 

大阪大学大学院医学系研究科と大阪大学蛋白質研究所の共同研究チームは,電位依存性H+チャネルVSOP/Hv12量体に会合する領域を同定し、その原子構造をSPring-8 の蛋白研ビームライン(BL44XU)を使用して解析を行い、このコイルドコイル領域の熱安定性がチャネル機能の温度特性を決めるものであることを明らかにしました。なお、本研究の成果は「Nature Communications」に5月8日付けで掲載されました。

 

 

 水素イオン(H+)は酸・アルカリバランスの調節や生理活性物質の原料となるなど生体にとって重要な働きを担っています。我々の体は細菌を退治する際に、武器として活性酸素を作っています。この時に、細胞内のH+を細胞外へ輸送することにより細胞内外の電荷のバランスを調節して活性酸素産生を維持し、同時に活性酸素の原料となるH+を供給するのが、細胞膜に開いたH+の通り道である電位依存性H+チャネルです。これまで、この電位依存性H+チャネルは2量体となり機能する事は知られていましたが、「どのように2量体化するのか?」「なぜ2量体になるのか?」といったことはわかっていませんでした。



 大阪大学の医学系研究科(岡村康司教授)と蛋白質研究所(中川敦史教授)の研究チームでは、電位依存性H+チャネルが2量体に会合する領域を同定し、その原子構造をSPring-8 の蛋白研ビームライン(BL44XU)を使用して解析を行いました。決定された構造は2量体コイルドコイル構造を呈しており、併せて行ったタンパク質の温度特性の解析と電気生理学的機能解析から、このコイルドコイル領域の熱安定性がチャネル機能の温度特性を決めるものであることを明らかにしました。また、この細胞内コイルドコイル領域を介して2つのH+チャネルが互いに抑制をかけて機能している事を明らかにしました。細胞内コイルドコイルが膜貫通ドメインから一連のへリックスを形成し2量体間の機能の橋渡しをしている

というモデルは、イオンチャネル会合が機能修飾しているという新しい機構です。今回の電位依存性H+チャネルの構造と機能の解析は、将来の免疫療法薬開発に発展する期待が持てます。


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