電子線構造生物学研究室

メンバー

教授 加藤 貴之
助教 岸川 淳一

高﨑 寛子

連絡先

電話番号 06-6105-6079
ファックス番号
メールアドレス
URL http://www.protein.osaka-u.ac.jp/cryoem/index.html

研究概要

蛋白質は我々ヒトを始めすべての生物において、あらゆる生命活動の根幹を担っています。蛋白質の機能は立体構造と密接に関係しており、立体構造が壊れるとその機能が失われてしまいます。また、蛋白質は常に構造変化や離合集散を繰り返しており、そのゆらぎの中で必要な機能を発揮するように設計されています。これは蛋白質の構造とそのゆらぎを知ることが機能メカニズムを知る近道であることを示しています。この蛋白質の構造解析を行う手法にクライオ電子顕微鏡があります。
クライオ電子顕微鏡は蛋白質の構造解析を行う技術として近年急速に発展を遂げており、構造生物学において必須の技術となりました。クライオ電子顕微鏡では溶液中での機能状態での分子の構造を解析することができ、病気発生のメカニズムや創薬のための、より価値の高い構造情報を得ることができます。
本研究室では分子モーターを中心に、クライオ電子顕微鏡によって蛋白質の構造解析によるメカニズムの解析と、より高分解能な解析が可能な技術開発及びタンパク質の熱ゆらぎの解析法の確立を進めています。

  • クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法は、試料の分子量に対する制限が緩く、機能状態での構造解析が可能です。そのため、他の方法では解析が難しかった超分子複合体の機能状態の構造解析を行っています。特にべん毛モーターやATPaseに代表される分子モーターは高エネルギー変換効率、コンパクトといった優れた特性を持っています。これらの優れたメカニズムを明らかにするためにクライオ電子顕微鏡による構造解析を行っています。
  • 近年のクライオ電子顕微鏡は高分解能での構造解析が可能ですが、すべての試料に対して必ず構造解析ができるとは限りませんし、解析できたとしても期待する分解能で解けるとは限りません。また、現在のクライオ電子顕微鏡のポテンシャルすべてを引き出せているかは現時点では実は誰にも分かりません。そのため膜蛋白質や小さな分子などクライオ電子顕微鏡では難しい試料がコンスタントに高分解能で解析できる技術を開発していきます。

 

  • クライオ電子顕微鏡は試料溶液を凍らせて分子像を撮影し、画像解析によって立体構造解析を行う手法です。その分子像の中には様々なコンフォーメーションを持っている分子が含まれています。この様々なコンフォーメーションを持つ分子像を正しく分類して連続に並べると、蛋白質が本来持つ熱ゆらぎを可視化することができます。蛋白質は厳密な設計に基づいて機能する人工の機械と違い、常にコンフォーメーションを変えながら機能を発揮しています。この蛋白質の熱ゆらぎを解析する手法を確立することで蛋白質の本質を明らかにします。

 

 

研究課題

  1. 分子モーターの構造解析に基づく機能メカニズムの解析
  2. クライオ電子顕微鏡における高分解能解析技術の開発
  3. 蛋白質の熱ゆらぎ解析法の確立

発表論文

  1. Refined mechanism of Mycoplasma mobile gliding based on structure, ATPase activity, and sialic acid binding of machinery. Nishikawa, M.S., Nakane, D., Toyonaga, T., Kawamoto, A., Kato, T., Namba, K. & Miyata, M. (2019) mBio, 10,e02846-19.
  2. Structure of the native supercoiled flagellar hook as a universal joint. Kato, T., Makino, F., Miyata, T., Horváth, P. & Namba, K. (2019) Nature Communications, 10, 5295
  3. Structure of Salmonella flagellar hook reveals intermolecular domain interactions for the universal joint function. Horváth, P., Kato, T., Miyata, T. & Namba, K. (2019) Biomolecues, 9, 462.
  4. CryoTEM with a cold emission gun that moves structural biology into a new stage. Kato, T., Makino, F., Nakane, T., Terahara, N., Kaneko, T., Shimizu, Y., Motoki, S., Ishikawa, I., Yonekura, K. & Namba, K. (2019) Microsc. Microanal, 21,Suppl 2, 998.
  5. Novel insights into conformational rearrangements of the bacterial flagellar switch complex. Sakai, T., Miyata, T., Terahara, N., Mori, K., Inoue, Y., Morimoto, Y.V., Kato, T., Namba, K. & Minamino, T. (2019) mBio. 10, e00079-19.
  6. Architecture of a flagellar apparatus in the fast-swimming magnetotactic bacterium MO-1, Ruan, J., Kato, T., Santini, C.-L., Miyata, T., Kawamoto, A., Zhang, W.-J., Bernadac, A., Wu, L.-F. and Namba, K. (2012) Proceedings of the National Academy of Sciences USA, 109, 20643.
  7. High-resolution structural analysis of a DNA nanostructure by cryoEM. Kato, T., Goodman, R.P., Erben, C.M., Turberfield, A.J. & Namba, K. (2009) Nano lett, 9(7), 2747.