蛋白質ナノ科学研究室

メンバー

教授 原田 慶恵
講師 鈴木 団
助教 多田隈 尚史

連絡先

電話番号 06-6879-8627
ファックス番号 06-6879-8629
メールアドレス
URL https://www.ccc.osaka-u.ac.jp/protein/nanobiology/

研究概要

細胞の中では、遺伝情報を基にタンパク質や核酸などの生体分子が作られ、それらの働きによって生命活動が維持されています。遺伝情報はどの人も大部分は同じですが、DNAの配列のわずかな違いや、タンパク質を作る場所や量、タイミングなどの違いから個性が生まれます。私たちはそのような個性が生まれるしくみを、自ら開発した様々な光学顕微鏡技術を使って11個の生体分子や細胞の状態を直接観察することで明らかにしようとしています。

 

研究課題

1.ナノ開口を使った生体分子間相互作用の解析

蛍光1分子イメージング技術は生体分子の機能解析や生体分子間の相互作用を解析する上で非常に強力な研究手段の1つです。我々は高濃度の蛍光分子存在下でも蛍光1分子イメージングが可能なナノ開口を作製し、それを使って生体分子間相互作用の解析を行っています。ナノ開口はカバーガラス表面を、直径約100nmの穴の開いた厚さ約100nmのアルミニウムで覆ったものです。この基板にガラス側から励起光を照射すると、励起光はその波長の半分程度の径の穴を透過することはできず、穴の底のごく狭い領域(1 aL)のみを照らします。これによって余分な蛍光分子が励起されず背景光が激減します。生体分子の相互作用には、数μM程度の分子濃度が必要ですが、ナノ開口を使うことで、 従来の技術では難しかった生理的な濃度の条件下での蛍光1分子イメージングが可能になります。

 

 

 

 

 

 

 

2.DNAオリガミを使った遺伝子発現の解析

細胞内は非常に混みあった環境にもかかわらず、遺伝子DNARNAに転写し、転写したRNAからタンパク質を作るまでの遺伝子発現の過程は精密に制御され、 効率的に反応が進んでいます。目的の相手分子と効率良く相互作用するために、 細胞内では、巨大な足場分子を土台として、関連する因子が集積したナノ反応場が形成されています。そこで我々は、分子の配置をナノメートル精度で制御可能なDNAオリガミ上に、遺伝子発現に必要な因子を配置したナノチップを作製し、ナノ反応場を再構成しようとしています。遺伝子発現のタイミングや量がどのように制御されているかを明らかにすることで、細胞の個性が生まれるしくみを明らかにしようとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.細胞内局所温度計測技術の開発

温度は最も基本的な物理量の1つです。しかし、温度が細胞の機能にどのように働いているのかは明らかではありません。そこで我々は、蛍光性ポリマー温度センサーと蛍光イメージング技術を組み合わせることにより、単一細胞内の温度を測定する法方法を開発しました。この新規温度計測法により、単一生細胞の平均温度は細胞機能やイベントに関連して有意な温度変化を示しうることや、細胞内部には細胞小器官に関連した有意な不均一な温度分布が存在することを発見しました。この結果は実際に細胞内の局所温度と細胞機能に関連があることを示唆しています。我々は、細胞内における局所的な温度が細胞機能やそれにより構成される高次の生命現象に与える意義と普遍性の解明を目指しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発表論文

  1. Biochemical and single-molecule analyses of the RNA silencing suppressing activity of CrPV-1A. Watanabe, M. et al. (2017) Nucleic Acids Res. 45(18), 10837-10844
  2. Reversible Morphological Control of Tubulin-Encapsulating Giant Liposomes by Hydrostatic Pressure. Hayashi, M. et al.(2016)
    Langmuir 32(15), pp 3794–3802
  3. The application of fluorescence-conjugated pyrrole/imidazole polyamides in the characterization of protein–DNA complex formation.
    Han, YW. et al.(2016)Sci.4, 391-399
  4. Synergistic effect of ATP for RuvA-RuvB-Holiday junction DNA complex formation. Iwasa, T. et al.(2015) Scientific Reports 5, 18177
  5. Suppression of Nonspecific Protein-Nanodiamond Adsorption Enabling Specific Targeting of Nanodiamonds to Biomolecules of Interest. Sotoma, S. et al.(2015) Chemistry Letters 44(3), 354 - 356
  6. ECHO-liveFISH: in vivo RNA labeling reveals dynamic regulation of nuclear RNA foci in living tissues Nucl. Oomoto, I. et al. (2015) Nucleic Acids Res.43(19), e126
  7. Comprehensive and quantitative analysis for controlling the physical/chemical states and particle properties of nanodiamonds for biological applications. Sotoma, S. et al.(2015) RSC Adv.5, 13818 - 13827
  8. Optically Detected Magnetic Resonance of Nanodiamonds In Vivo; Implementation of Selective Imaging and Fast Sampling. Yoshinari, Y. et al.(2015) J Nanosci Nanotechnol. 15, 1014 - 1021