研究内容

有機化学研究室の目指す方向

蛋白質は20種類のアミノ酸が鎖状につながって形成された分子で、生体内にはヒトの場合10万種近くが存在するといわれています。これらの蛋白質は生命現象のさまざまな場面で重要な働きを演じています。

 

今から約100年前、人為的に蛋白質を合成しようとする研究が始まりました。その間、液相法や固相法と呼ばれる合成法に基づいて蛋白質合成が試みられたりしました。今から25年前頃からライゲーション法と呼ばれる合成法の研究が開始され、最近になって化学的方法がようやく実用的な蛋白質調製法となってきました。私たちはライゲーション法の発展に大きく貢献して来ました。

 

ライゲーション法では、ある条件を整えれば生物学的手法によって調製したペプチド断片や天然蛋白質であっても、化学的に合成したペプチド断片と同じように合成ブロックとして蛋白質合成に利用できます。それ以前の合成法では考えられなかった程柔軟な蛋白質合成法です。

 

ライゲーション法はすばらしい成果を上げつつある合成法ですが、まだこれで完成という段階ではありません。生物学的蛋白質調製法との役割分担を考えると、化学を基盤とした合成法では、生物学的方法では調製することが困難な蛋白質を合成できる方法であってこそその存在意義があろうと考えております。私たちは独自の合成法を開発しつつ、翻訳後修飾された蛋白質や膜蛋白質などを合成ターゲットとして選び研究を進めています。

主な研究テーマ

1. 蛋白質合成法の開発
1) 純粋化学的蛋白質合成法の研究
20種類のL型アミノ酸に限られるという生物学的制限に拘束されない、純粋に化学的な蛋白質合成法の開発を行っています。
2) 生物学的方法と化学的方法とを融合した合成法の研究
通常のL型アミノ酸でできているペプチドであれば、必ずしも化学的に合成する必要はなく、生物学的に発現したペプチド断片を利用出来る方法を開発すればよいはずです。修飾された部位だけを化学的に合成し、これらを用いて修飾蛋白質を合成できる有効な合成法を展開しようとしています。
3) 拡張型ライゲーション法によるペプチド結合形成法の研究
側鎖に保護基をもたない2つのペプチド断片を混合するだけで任意の箇所でペプチド結合を形成させることができる方法の開発を目指して研究を続けております。
2. 膜蛋白質の合成法の開発と分子化学的研究
膜蛋白質は蛋白質研究における未知の領域です。私たちは方法論の展開に専念してきましたが、そこで培った方法を駆使して膜蛋白質を合成し、その分子化学的研究に取り組もうとしております。
3. 蛋白質の単離精製方法の研究
蛋白質合成法の発展に伴い、「蛋白質の合成はできるが単離できない。」という問題が生じています。シンプルかつ力量のある蛋白質・ペプチド精製方法の開発を目指して研究をおこなっております。
4. 生理活性ペプチドに関する研究
生体膜で機能を発現する生理活性ペプチドについて、合成化学と分子化学的な視点から研究しております。