蛋白質は20種類のアミノ酸が鎖状につながって形成された分子で、生体内にはヒトの場合10万種近くが存在するといわれています。これらの蛋白質は生命現象のさまざまな場面で重要な働きを演じています。
今から約100年前、人為的に蛋白質を合成しようとする研究が始まりました。その間、液相法や固相法と呼ばれる合成法に基づいて蛋白質合成が試みられたりしました。今から25年前頃からライゲーション法と呼ばれる合成法の研究が開始され、最近になって化学的方法がようやく実用的な蛋白質調製法となってきました。私たちはライゲーション法の発展に大きく貢献して来ました。
ライゲーション法では、ある条件を整えれば生物学的手法によって調製したペプチド断片や天然蛋白質であっても、化学的に合成したペプチド断片と同じように合成ブロックとして蛋白質合成に利用できます。それ以前の合成法では考えられなかった程柔軟な蛋白質合成法です。
ライゲーション法はすばらしい成果を上げつつある合成法ですが、まだこれで完成という段階ではありません。生物学的蛋白質調製法との役割分担を考えると、化学を基盤とした合成法では、生物学的方法では調製することが困難な蛋白質を合成できる方法であってこそその存在意義があろうと考えております。私たちは独自の合成法を開発しつつ、翻訳後修飾された蛋白質や膜蛋白質などを合成ターゲットとして選び研究を進めています。