Nuclear Magnetic Resonance

核磁気共鳴装置  ----- NMR ------

 

当研究室では、スイス Bruker 社製 950MHz, 800 MHz, 600 MHz, 500 MHz, 400MHz 級の溶液 NMR 装置を使用して研究を行っています。

その磁石部分ですが、液体ヘリウムよりもさらに2度低い、-271℃( 2K )に冷却されています。これは、磁石のコイルに超伝導を使用しているためです。

蛋白質のサンプル溶液をガラス管に封入し、それを磁石にセットしているところ。磁石の上部と下部が、もっとも磁力が強い。腕時計などをしていると、磁石に引き寄せられ、逃げれなくなる。吸い付かれた時間は、止まった時計に刻まれる。
この距離でも、財布にしまったクレジットカードなどはつぶれてしまいます。しかし、テレホンカードの度数は下がっても、上がった例はありません。
先ほどの蛋白質試料に照射する電磁波を作成したり、検出された信号を処理する、分光器部分です。このたくさんのケーブルやボタンのうち、一つでも違えると正常に測定ができません。

液体ヘリウムを磁石に充填しています。生物学では、よく液体窒素を扱いますが、この世でもっとも低温の溶媒である液体ヘリウムを大量に経験できる分野はここしかありません。ちなみにヘリウムは、100 年程前に発見されるまでは、地球上にはないと思われていたほど、貴重な資源です。しかし、ここでは、後ろに見えるパイプを通して、蒸発した気体ヘリウムをキャンパス内の低温センターに送っています。低温センターのご協力により、再生された液体ヘリウムを安価に購入することができます。

このように、たいへん危険に見える実験器具ですが、磁石は人体にはいたって安全です。考えてみれば、我々のいる地球も大きな磁石ですし、磁石は、病院での MRI や、肩こりなどに貼るシップ薬状のものにも利用されています。将来は、磁気浮上列車の計画もあります。

サンプルである蛋白質は、大腸菌に作らせるために、たとえその蛋白質が哺乳動物系のものであっても、直接に動物を扱うことはありません。そのため、屠殺が嫌な人でも安心して実験できます(ただし、殺さなければいけない菌の数は、どの研究室にも負けません)。

写真には載っていませんが、蛋白質の構造解析は、培養精製といった水系実験と、NMR の操作、構造計算といったコンピューター系実験の両面をもっています。この両者を習得することは、もちろん簡単なことではありませんが、それに挑戦しようという、意欲のある方を待っています。