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電子顕微鏡イメージング技術 最先端電子顕微鏡プロトコール

1. CEMOVIS(Cryo-Electron Microscopy Vitreous Sections)

日本語に訳すときは、非晶質(ガラス状)凍結切片クライオ電子顕微鏡観察としています。また、海外でもCEMOVISとは言わずに、単にvitreous sectionsと言うことが多いです。凍結切片と日本語で言うと徳安法を思い浮かべる人が多いですが、本方法は違います。CEMOVISの開発には複数の人が携わっています。中でも最も有名なのは、Dubochetのreview 【Al-Amoudi, A. et al. Cryo-electron microscopy of vitreous sections. EMBO J 23, 3583-8 ,2004】です。CEMOVISという言葉は、彼らが使い始めました。CEMOVISは、厚い生物試料を表面からできるだけ深部にまで非晶質層に凍結し、そのままクライオミクロトームで薄切し、得られた氷の切片をクライオ電子顕微鏡で観察するという技術です。非晶質層、つまり液体に近い構造の水に囲まれているので、従来の化学固定切片よりも、より生きている状態に近い観察が可能になります。また、得られる像は、構成分子そのものに起因するシグナル(主に位相コントラスト)から成り立っていますので、染色剤で染めたものよりも正しい構造情報を反映しているといえます。
透過型電子顕微鏡では、電子と物質の相互作用が強すぎるため、試料を薄くしなければ観察できません。しかし、試料を薄くするためには、水分たっぷりの生物試料を固めなければなりません。こうして開発されたのが、化学固定した試料を薄切する樹脂包埋切片法でした。では、CEMOVISでは、どのようにするのでしょうか?以下簡単に御紹介しましょう。

(1)加圧凍結装置を用いて試料を表面からできるだけ深く非晶質層に
   固定する(物理固定という)
   試料に一挙に2100bar(≅2072気圧) かけると同時に液体窒素の
   ジェットを吹き付けることで可能になります。

 






  【写真】加圧凍結装置 EM-PACT2

加圧凍結装置EM-PACT2

(2) クライオミクロトームで、非晶質層を保ちながら、薄切をし、
    氷のリボンを作製する。

ダイヤモンドナイフ

【写真】ダイヤモンドナイフ先端についた氷のリボンをブラシの毛でとっているところ。氷が透明なのは非晶質層の証拠。

(3)クライオ電子顕微鏡で観察する。

ダイヤモンドナイフ

最後にですが、CEMOVISは、アーティファクトもあります。これらを考慮しながら如何にうまく使用するかがポイントです。

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