【はじめに】

サイエンスとは"How things work?"という疑問に答えるために行うものだと考えます。蛋白質が生命体の中で、いわば「分子機械」として精緻な働きをしている、その「しくみ」を明らかにするのが我々の目標です。そのために当研究室では、大きなくくりで言えば構造生物学という学問分野に属する研究をしています。しかし、特定の分子や生物学的現象に対象を絞ってはいません。神経科学や発生、免疫学に至るまで、幅広い現象に関わる細胞の、特にシグナル伝達に関わる分子(細胞外リガンドとその受容体)について、構造生物学的手法によって、「なにが、どうやって働いているのか?」を明らかにしようと研究しています。

 我々の研究は手法としては3つの柱から成り立っています。一つ目はX線結晶構造解析。精製蛋白質の結晶から原子分解能で蛋白質の3次元立体構造を決定する方法です。2番目は電子顕微鏡イメージング。クライオ(極低温)電子顕微鏡やトモグラフィーと呼ばれる手法により、組織や細胞よりもっともっと細かいレベルで分子そのものの形状を観察する、究極の分子イメージング法です。そして3番目は高品質の組み換え蛋白質生産。動物細胞発現系を用いて他では得られない蛋白質試料を素早く手に入れることを得意としています。
 蛋白質工学と細胞生物学を取り込んだ、トータルな蛋白質科学を武器に、生命のしくみの解明と病気の克服に貢献する研究を目指しています。