大阪大学蛋白質研究所『ゲノムー染色体機能研究室』

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大阪大学蛋白質質研究所、蛋白質高次機能研究部門、ゲノムー染色体機能研究室のホームページにようこそ

我々の研究室では、遺伝子/染色体/DNAの安定性や多様性を生み出す仕組みを解明する研究を行っています。我々の研究はゲノムの不安定化による細胞のガン化、卵子や精子などでの異数体形成による流産などの理解に繋がると考えています

マウス減数分裂期の染色体
シナプトネマ複合体(赤)と組換えタンパク質(緑)

最近の出来事

2025年2月1日 新メンバーが加わりました

 

2024年12月16日 インドBangaloreで開催されたChromosome stability 2024で講演しました

2024年12月8日 広州で開催されたInternational Conference on Cell Organization and Genome integrity 2024で講演しました

2024年11月16日  大阪大学のSEEDSプログラムの高校生実習を開催しました

2024年11月8日 フランスのValerie Borde博士(Institute of Curie)の講演会を企画しました

2024年11月8日 フランスのAlain Nicolas博士(Université Nice Côte d’Azur)の講演会を企画しました

2024年10月30日 茨城県立水戸第一高校で模擬講義を行いました

2024年10月19日 深圳で開催されたATW2024, isDDRHDで講演しました

2024年10月15日 アメリカのMaria Speceis博士(University of Iowa)の講演会を企画しました

2024年8月8日  高校生のための蛋白研セミナーを開催しました

2024年7月14日 FASEB meeting on Genetic recombination(Arizona, USA)で講演しました

2024年6月26日 Mwanikiさん(博士課程)のMei5の翻訳後加工の論文をGenes to Cellsに発表しました

2024年6月20日 Hung-Wen Li博士(国立台湾大学)の講演会を企画しました

2024年5月3日  高校生のための蛋白研セミナーを開催しました

2024年4月12日 蛋白研セミナー"New Frontier on Chromosome Biologyを主催して、G.Mehta, B. de Massy, 澁谷、Sato-Carlton博士などの講演を企画しました

2024年4月26日 チェックポイント におけるRPAの役割の論文をScientific Reportsに発表しました

2024年4月12日 蛋白研セミナー"Froniters on Chromosome Biologyを開催しました

2024年3月19日 台湾のAcademia Sinicaで講演しました

2024年3月9日 第4回有性生殖の会(東大)で講演しました

2024年3月6日 会津大学で研究公正性の講演しました

2023年11月15日 Rec8コヒーシンとDNA2重鎖切断の関係の論文をGenes to Cellsに発表しました

2023年11月2日 Liuさんと古郡先生の論文をJ.Biol.Chemに発表しました

2023年10月28日 伊藤先生の論文をNature Communicationsに発表しました

2023年8月29日 米国NIH/NCIでonline seminarで講演しました

過去の出来事

研究の紹介 動画

減数分裂期の核膜の動き

ヒト卵子の染色体の動き

研究紹介

相同組換え

同じ両親から生まれる子供、兄弟姉妹が似ているけど異なる理由って知っていますか? これは両親から似ているけど異なる遺伝子の組み合わせを子供が受け取るからです。こ の異なる遺伝子の組み合わせを作り出すのに、DNAの交換反応である"相同組換え"が大 切な役割を果たしています。父親、母親がそれぞれに両親から受け取った遺伝子の組み 合わせをシャッフリングしているからです。もし組換えが起こらなかったら兄弟姉妹が みんな1卵性の双子みたいなってしまいます。相同組換えは父方、母方由来の2本の同 じ染色体(あるいはDNA)が切断され、入れ換えられ、再結合する反応です。

減数分裂

減数分裂は配偶子(ヒトでは精子や卵子)の形成の際起こる特殊な細胞分裂の形態です。通常の細胞は体細胞分裂によって増えます。体細胞分裂では2倍体(細胞は父親、母親由来の染色体を1つずつ、1対持っている)の細胞から2つの2倍体の娘細胞が生じます。一方、減数分裂では2倍体の細胞から1倍体(半数体)の細胞が生じます。これはDNA複製の後2回続けて核分裂が起こるためです。一回の減数分裂で1つの2倍体細胞から4つの半数体細胞が生じます(ヒトのメスの減数分裂では卵子になるのはこの4つのうちの1つだけですが、オスの場合4つとも精子になります)。配偶子のDNA情報(核相)を半減することで、配偶子同志が受精する際にできる細胞のDNA量(2倍体であること)を維持することが出来ます。細胞の中の染色体の数を一定に保つこと、つまり2倍体であることを維持することは哺乳類の細胞が機能するために重要で、ヒトでは染色体を一本余分に持っただけで(異数体が生じるだけで)病気になることが知られています

ガン化と老化

組換えなどのゲノムの安定化機構にエラーが生じると、細胞のゲノムが不安定化してガン化や老化の原因になります 家族性乳がんの原因遺伝子であるBrca1/2が欠損すると、その名の通り、若年性の乳がん(卵巣がん)を発症しやすくなります このBrca1/2は細胞内では相同組換えに働くことが知られています。遺伝性の早老症の1つウェルナー症候群の原因遺伝子Wrn1はDNAを巻き戻すことができるタンパク質で、組換えを制御することが知られています。早老症ではプロジェリアが有名ですが、この原因はラミンと呼ばれる遺伝子のたった1塩基の置換で生じることが知られていて、この変化により染色体を包む核膜構造に異常が生じることで染色体の機能の不全を誘発して、ゲノムの不安定化などを介して、老化を導くと考えられています。

流産と不妊症

減数分裂期の染色体分配の異常は、卵子や精子などの染色体の数に影響を与え、その結果、流産や不妊の原因になります。減数分裂期の染色体分配、特に相同染色体の第1分裂での分配には相同染色体間の組換え、交叉型組換えが必須で、姉妹染色体の接着(コヒージョン)と単極性の動原体構造と一緒に働くことで正確な分配を保証しています。これらの過程の欠損は異数体や不妊の原因になります。ヒトの異数体の形成は卵子の老化と関連があり、異数体卵子の組換えを調べると、組換えの数や分布に異常があることも知られています。遺伝的な解析から、減数分裂期の組換え頻度が高い家系ほど、子沢山だということも報告されていて、組換えが子供を作る上で重要であることがわかるか、と思います

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