English

研究プロジェクト

「蛋白質を複合体状態で構造解析し,生命システムを理解する」

ことを目指しています.生体の中で,蛋白質はネットワークを形成しながら機能しています.我々は,蛋白質結晶学の手法で複合体状態の蛋白質を結晶化し,結晶構造に基づいて生命システムを理解しようという研究室です.精製・結晶化した蛋白質の構造を解析することで,すべての生命現象を理解できるとは思いませんが,「呼吸」「光合成」「生体運動」などに限って考えた場合,その働きは複合体蛋白質の結晶構造を基に理解することができます.今にも回り出しそうな状態で構造解析されたF1−ATPaseの結晶構造(1998年ノーベル化学賞)などは,その良い例でしょう.我々の研究室では,「光合成」「分子モーター」「生体超分子」をキーワードに,以下の研究プロジェクトを進めています.

1.光合成エネルギー変換機構,レドックス代謝ネットワーク

エネルギー変換膜に存在する膜蛋白質複合体や,その周辺の蛋白質を結晶化し,構造解析することにより,生体膜とリンクした機能発現機構の解明を目指します.具体的には,光化学系1複合体からフェレドキシンを介して様々な代謝反応に還元力が分配されるネットワークや,シトクロムb6f複合体に電子が循環する仕組み,さらには光合成色素の合成や光依存的水素発生など,複合体状態の結晶構造を基に理解したいと考えています.

2.巨大な生体分子モーターであるダイニンの構造ー機能相関の解明

モーター蛋白質はヌクレオチド状態に依存してその立体構造を変化させることにより運動活性を発生しています.我々は,微小管系モーター蛋白質であるダイニンの運動機能を完全に理解することを目指して,細胞質ダイニンと軸糸ダイニンの結晶構造解析を行っています.

3.金属蛋白質の精密構造研究

生体中には鉄や銅などの金属を酸化還元中心にもつ金属蛋白質が存在しています.高輝度放射光を用いることで,様々な金属蛋白質の構造が明らかになってきましたが,一方で放射線損傷や測定中のX線照射による還元など,化学的に厳密な構造解析をすることができない状況でした.X線自由電子レーザーや中性子構造解析法を適用することで,redox状態を厳密にコントロールしながらより精密な構造解析を行っています.

連絡先:〒565−0871 大阪府吹田市山田丘3−2 大阪大学蛋白質研究所蛋白質結晶学研究室
TEL: 06-6879-8604 E-mail: gkurisu@protein.osaka-u.ac.jp

Copyright © Laboratory of Protein Crystallography. All rights reserved.