タンパク質有機化学研究室

糖タンパク質合成

(Glycoprotein synthesis)

糖鎖修飾は、蛋白質の約半数にのぼる翻訳後修飾です。 糖鎖は、細胞の増殖、分化、がん化等種々の生命現象に関与していることが明らかとなってきました。 しかし、その詳細な機能発現のメカニズムはあまり明らかになっていません。 ペプチド鎖と違い、糖鎖はDNAのような情報分子なしに、多くの酵素が働くことによって作られます。 このため同じ蛋白質であっても糖鎖部分には高い不均一性があり、機能を調べる上で大きな障害になっています。 そこで私たちは、化学的に均一な糖鎖を持つ蛋白質を合成してその機能に迫ろうとしています。 蛋白質に結合している糖鎖には大きく分けて2種類あります。 一つは水酸基を持つアミノ酸(Ser、Thr)の側鎖水酸基に結合しているO-結合型、もう一つは特定のAsnの側鎖アミド基に結合しているN-結合型です。 私たちのところでは、どちらの糖蛋白質にも対応するべく合成法の開発を進めています。 図にそれぞれの合成例を示します。

(図4)

(図4)H. Hojo, Y. Matsumoto, Y. Nakahara, E. Ito, Y. Suzuki, M. Suzuki, A. Suzuki, and Y. Nakahara, J. Am. Chem. Soc., 127, 13720-13725 (2005)

(図5)

(図5)Y Asahina, S. Kamitori, T. Takao, N. Nishi, H. Hojo, Ang. Chem. Int. Ed., 52, 9733-9737 (2013).