タンパク質有機化学研究室

 私たちの研究室では、タンパク質の効率的な化学合成法を開発し、得られた合成タンパク質を用いてその働きを有機化学的に調べることを目標に研究を行っています。タンパク質はそれぞれ独特な形をしています。化学的にそのような形を再現できるのでしょうか?私たちがこれまで化学合成してきた範囲(分子量1〜2万)では、天然から得られたタンパク質と同じものが得られています。例外があるものの、タンパク質の形は、そのアミノ酸配列によってあらかじめ決められているのです(Anfinsenのドグマ)。基本的には正確にアミノ酸をつなげることができれば、天然と同じタンパク質を合成化学的に得ることができます。

 細胞膜には、多くのタンパク質が存在し、細胞内外で情報のやり取りをしています。多細胞生物がその生命を維持する上で、これらのタンパク質(膜タンパク質)の働きはとても重要で、これらのタンパク質を標的として多くの医薬品が開発されています。ただし、膜という疎水性の環境にあるため、これらのタンパク質の調製、また機能の研究はとても困難です。私たちは、膜タンパク質にも適用できる一般的な化学合成法を開発を目指しており、得られたタンパク質を用いてその機能を調べるとともに、タンパク質性医薬品を開発していきたいと思っています。