タンパク質有機化学研究室

膜タンパク質の
構造機能解析

(Structure and Function of Membrane Protein)

我々は構造生物学分野において高難度の研究対象とされる1回膜貫通型タンパク質を研究対象とし、その膜貫通そして膜近傍部位に関する構造物性等の解析を行うことから、対象膜タンパク質が関与する生命現象の分子機構の解明を目指しています。具体的には上皮増殖因子受容体(EGFR)や繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)等の受容体型チロシンキナーゼによる情報伝達、アルツハイマー病の原因となるAbペプチドの産生機構である膜内切断(Regulated Intramembrane Proteolysis:RIP) の機構の解明を目指しています。我々の膜タンパク質研究では、試料調製においてはタンパク質合成化学的手法、脂質二重膜中における構造物性解析は固体NMR、蛍光測定やIR等の分光学的手法を用いています。合成化学はペプチド、タンパク質の部位特異的標識を可能とします。固体NMRは分解能に問題はあるものの、部位特異的安定同位体標識を導入したタンパク質を試料とすれば、その脂質二重膜中における高分解能の構造情報を与えます。

(図7)

(図7)我々が提唱したEGFRの活性化機構のモデル。Matsushita et al. PNAS 2013