【はじめに】

 サイエンスとは"How things work?"という疑問に答えるために行うものだと考えます。蛋白質が生命体の中で、いわば「分子機械」として精緻な働きをしている、その「しくみ」を明らかにするのが我々の目標です。そのために当研究室では、大きなくくりで言えば構造生物学という学問分野に属する研究をしています。しかし、特定の分子や生物学的現象に対象を絞ってはいません。神経科学や発生、免疫学に至るまで、幅広い現象に関わる細胞の、特にシグナル伝達に関わる分子(細胞外リガンドとその受容体)について、構造生物学的手法によって、「なにが、どうやって働いているのか?」を明らかにしようと研究しています。

 立体構造はただ「識る」だけで終わりません。それを使って、あらたに蛋白質を「創る」ことも可能になります。それは蛋白質工学と呼ばれる分野に属する作業になります。自然界に存在する蛋白質を改変したり改良したりすることによって、病気の予防や治療に役立つ人工蛋白質=バイオ医薬の開発につながるような研究も行っています。

 上のような研究開発を行う上で、当研究室が重視しているのが高品質の組み換え蛋白質生産です。どんな最先端の蛋白質科学研究も、材料となる蛋白質が入手できなければ始まりません。逆に、世界中が調製に苦労している蛋白質を高品質で手に入れられれば、その時点で一気にその研究のフロントランナーになれます。当研究室では、動物細胞発現系の利用と、独自の蛋白質精製技術の開発によって、これを実現しています。

 蛋白質の立体構造というものを中心におき、生命のしくみの解明と病気の克服に貢献する研究を目指すというのが当研究室の哲学です。

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蛋白質研究所  分子創製学研究室

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