【はじめに】
サイエンスとは"How things work?"という疑問に答えるために行うものだと考えます。蛋白質が生命体の中で、いわば「分子機械」として精緻な働きをしている、その「しくみ」を明らかにするのが我々の目標です。そのために当研究室では、大きなくくりで言えば構造生物学という学問分野に属する研究をしています。しかし、特定の分子や生物学的現象に対象を絞ってはいません。神経科学や発生、免疫学に至るまで、幅広い現象に関わる細胞の、特にシグナル伝達に関わる分子(細胞外リガンドとその受容体)について、構造生物学的手法によって、「なにが、どうやって働いているのか?」を明らかにしようと研究しています。
立体構造はただ「識る」だけで終わりません。それを使って、あらたに蛋白質を「創る」ことも可能になります。それは蛋白質工学と呼ばれる分野に属する作業になります。自然界に存在する蛋白質を改変したり改良したりすることによって、病気の予防や治療に役立つ人工蛋白質=バイオ医薬の開発につながるような研究も行っています。
上のような研究開発を行う上で、当研究室が重視しているのが高品質の組み換え蛋白質生産です。どんな最先端の蛋白質科学研究も、材料となる蛋白質が入手できなければ始まりません。逆に、世界中が調製に苦労している蛋白質を高品質で手に入れられれば、その時点で一気にその研究のフロントランナーになれます。当研究室では、動物細胞発現系の利用と、独自の蛋白質精製技術の開発によって、これを実現しています。
蛋白質の立体構造というものを中心におき、生命のしくみの解明と病気の克服に貢献する研究を目指すというのが当研究室の哲学です。
----- What's New -----
- 2024年 8月 8日
- 東北大学 加藤幸成教授が作成したがん特異的抗HER2抗体に関する動画が公開されました.
[動画1][動画2]
- 2024年 5月 1日
- メンバーを更新しました.
- 2024年 3月 9日
- がん特異的抗HER2抗体に関する論文が,Structure誌に公開されました.[プレスリリース][PubMed]
- 2023年 8月 30日
- 高親和性ACE2デコイ創薬に関する続報の論文が,Science Translational Medicine誌に公開されました.[プレスリリース][PubMed]
- 2023年 5月 9日
- メンバーを更新しました.
- 2023年 4月 1日
- 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(IFReC) 鈴木一博教授との共同研究の論文が,Science Immunology誌に公開されました.
[PubMed]
- 2022年 9月 20日
- 京都大学 渡邊直樹教授との共同研究で新しいイメージング技術にFv-claspを応用した論文が,Cell Reports Methods誌に公開されました.
[PubMed][プレスリリース]
- 2022年 8月 18日
- Plexin B1の活性をコントロールするMirabodyに関する論文が,Structure誌に公開されました.[PubMed]
- 2022年 7月 25日
- ACE2デコイ受容体に関する総説が,Trends in Pharmacological Sciences誌に公開されました.[PubMed]
- 2022年 4月 26日
- SARS-CoV-2オミクロン株に対する高親和性改変ACE2の有効性を示した論文が,Science Translational Medicine誌に公開されました.[プレスリリース][PubMed]
- 2021年 6月 29日
- インテグリンα6β1とラミニン511の構造の論文が,Nature Communications誌に公開されました.
[プレスリリース] [PubMed]
- 2021年 6月 29日
- 熊本大学 森岡弘志教授との共同研究の論文が,The Journal of Biochemistry誌に公開されました.
[PubMed]
- 2021年 6月 21日
- 高親和性ACE2変異体の論文が,Nature Communications誌に公開されました.
[プレスリリース] [PubMed]
- 2021年 6月 6日
- インテグリンα6β1とラミニン511の構造の論文が,Nature Communications誌にアクセプトされました.
- 2021年 6月 1日
- ホームページをリニューアルしました.
- 2021年 5月 28日
- COVID-19の治療薬としての応用が期待される高親和性ACE2変異体の論文が,Nature Communications誌にアクセプトされました.
- 2021年 5月 7日
- NIH Prof. Naoko Mizunoとの共同研究の論文が,Science Advances誌に公開されました.
[PubMed]
- 2021年 4月 22日
- 熊本大学 森岡弘志教授との共同研究の論文が,The Journal of Biochemistry誌にアクセプトされました.
- 2021年 3月 9日
- Lasso-graft技術の論文が,Nature Communications誌に公開されました.
[プレスリリース] [PubMed]
- 2021年 2月 12日
- 京都大学 高橋克准教授との共同研究の論文が,Science Advances誌に公開されました.
[PubMed]
- 2021年 2月 2日
- 分子科学研究所 加藤晃一教授との共同研究の論文が,The Journal of Biochemistry誌に公開されました.
[PubMed]