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ACHIEVEMENTS研究成果

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研究成果

プレスリリース

2019.09.30

ミトコンドリア膜中での呼吸酵素の活性化の仕組みの解明

兵庫県立大学、大阪大学(蛋白質研究所 山下栄樹准教授、月原冨武名誉教授、薬学研究科 青山浩准教授)の共同研究グループは、シトクロム酸化酵素が活性化されるしくみを分子構造に基づいて明らかにしました。

この酵素の2 量体構造は既に解明されていましたが、この酵素はミトコンドリア膜中では、主に単量体及び単量体が他の複合体と会合した超複合体という形態で存在します。その形態の生理的な意義はこれまで不明でしたが、今回単量体と2 量体の酵素活性と原子レベルで決定された分子構造の比較から、単量体化により酸素を水へ変換するために必要なプロトン(水素イオン)の取り込みが促進される可能性が強く示唆されました。このしくみは生体内でのエネルギー生産のバランス制御において重要であると考えられます。
この研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載されるのに先立ち、9 月18 日付けでオンライン公開されました。

今回の研究では、兵庫県立大学の杉村高志教授(有機化学)らが新規の界面活性剤(3OM)を合成、伊藤・新澤恭子特任准教授(生物化学)らが単量体酵素が活性型であることを示し、3OM を用いて単量体酵素を結晶化、村本和優准教授(生物物理学)及び大阪大学の青山浩准教授(構造生物学)、山下栄樹准教授(蛋白質結晶学)らが大型放射光施設 SPring-8を利用したX 線結晶解析を主に担当しました。このように、物質科学・生命科学という異なる分野の研究者が、互いの結果を常にフィードバックしながら、連携し共同で進めることで研究が大きく前進しました。

 

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