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研究成果

プレスリリース

2020.07.08

抗体医薬の抗がん作用を高める 環状ペプチドを発見

神戸大学大学院医学研究科シグナル統合学分野の村田陽二准教授、的崎尚教授らと、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授、大阪大学蛋白質研究所の松田真特任助教、中川敦史教授らの研究グループは、がん細胞を食べる(貪食)能力を持つマクロファージ上のSIRPαという膜タンパク質に特異的に結合する環状ペプチドを発見しました。さらに、そのペプチドが抗体医薬により誘導されるマクロファージのがん細胞に対する貪食作用を高め、マウスに移植されたがん細胞の排除を増強することを明らかにしました。今後、有効性と安全性の高い最適化されたSIRPα結合環状ペプチドを開発できれば、がんの新たな治療薬になることが期待されます。

  • 【研究成果のポイント】
  • •マクロファージの貪食作用に関わる膜タンパク質SIRPαに結合する環状ペプチド(SIRPα結合環状ペプチド)を発見した。
  • •SIRPα結合環状ペプチドはSIRPαと膜タンパク質CD47の結合を阻害する作用を示した。
  • •がん細胞を標的とする抗体医薬によるマクロファージのがん細胞貪食をSIRPα結合環状ペプチドが促進した。
  • •ヒトもしくはマウス由来がん細胞を移植したマウスにおいてがん細胞を標的とする抗体医薬の抗がん作用をSIRPα結合環状ペプチドが増強した。
  • •抗体医薬の抗がん作用を高める薬剤としてSIRPα結合環状ペプチドの利用可能性が示された。

この研究成果は、令和2年7月7日(現地時間)に、米国科学誌「Cell Chemical Biology」にオンライン掲載されました。

 

■問い合わせ先

大阪大学 蛋白質研究所超分子構造解析学研究室
教授 中川 敦史(なかがわ あつし)
TEL:06-6879-4313
E-mail: atsushi[at]protein.osaka-u.ac.jp

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