研究概要


生物の最小単位である細胞は、自分の運命を決定する分子機構を内包しています。この機構は、蛋白質、RNA、DNAがつながった電 気回路のようなネットワークとしてイメージすることができます。しかし、2万もの遺伝子や分子を含むネットワークのつながり方をすべて知ること は、ヒトゲノムがすべて解読された今日でも困難です。なぜなら、この回路は、細胞の外部環境、内部環境、そして時間によって、常に動的に変化し ているからです。

研究課題


私たちは、環境の伝播役である主要な分子のいくつかに注目し、その活性の時間変化や用量応答などのキネティクスを追うことで、その分子を中心とした回路図と細胞制御の関係を明らかにしようとしています。キネティクスの背後に潜む細胞内の回路の規則の数はこれまでの研究によりある程度有限であることがわかっており、細胞の運命は、複数の種類の回路の組み合わせにより、決定されると考えることができます。私たちの研究室では、分子から細胞までを対象として、実験、数理モデル、オミクスの情報解析を用い、がん、免疫、そして脳を対象として、これらの制御を明らかにしようとしています。



ErbB受容体シグナル伝達系と細胞制御


  1. 細胞周期制御
  2. 初期応答遺伝子制御

NF-kBシグナル伝達系と細胞制御


  1. 免疫細胞制御
  2. 老化

数理モデリングおよびバイオインフォマティクスの 解析フレームワーク構築


  1. 患者固有モデルとがんの分類
  2. 自然言語処理およびテキストからの数理モデル構築
  3. 1細胞トランスクリプトームおよびエピゲノムの解析ツール