大阪大学蛋白質研究所
マトリクソーム科学(ニッピ)寄附研究部門


ラミニン511E8断片の結晶構造

細胞外マトリックスの機能解明から次世代細胞培養技術の創出へ

私たちの身体を構成する細胞は、周囲の環境から提供される情報により、その挙動が制御されています。この情報の主たる担い手は、周囲の細胞から分泌される液性因子と細胞の足場となる細胞外マトリックス (extracellular matrix: ECM) です。細胞外マトリックスは細胞表面の受容体と結合することにより、それ自身がシグナル分子として機能するだけでなく、様々な液性因子を捕捉し、その組織内での分布と活性を制御する役割も担っています。生体から細胞を取り出し、その形質を維持したまま培養するためには、培地に添加する増殖因子だけでなく、足場となる細胞外マトリックスの選択がとても重要となります。

私たちは、細胞外マトリックスの情報を解読する役割を担うインテグリン受容体に着目し、細胞外マトリックスの情報がインテグリンによってどのように識別され、その情報がどのようなシグナル伝達系を駆動して細胞の挙動を制御しているかを、分子レベルから個体レベルまで、様々な手法を用いて研究しています。そして、そこで得られた成果を活用し、さまざまな幹細胞を安定に培養・増幅するための次世代細胞培養技術の創出を目指しています。私たちの研究室が開発したヒト多能性幹細胞用培養基材はiPS細胞を使った再生医療研究で幅広く使われています。

What's New

2024.06.17論文発表

東北大学医学部 長谷川隆文准教授との共同研究の論文が《Cell Death Discovery》にオンライン公開されました。エンドソームを介する細胞内輸送に関与するタンパク質として本研究室で同定されたRME-8/DNAJC13がパーキンソン病の発症メカニズムに関わることを検証した論文です。
> Cell Death Discovery誌のサイトはこちら

2024.06.13お知らせ

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の石川善弘先生がIV型コラーゲンについての基礎から最先端までをわかりやすく講義してくださいました。コラーゲンがこれまでよりもずっと身近に感じられるようになりました。
> 意見交換会の様子はこちら

2024.05.30論文発表

蛋白質研究所 北條裕信教授との共同研究の成果(RGD配列を含む新規インテグリンリガンドの開発)が《Frontiers in Chemistry》にオンライン公開されました。
> Frontiers in Chemistry誌のサイトはこちら

2024.05.28お知らせ

京都大学iPS細胞研究所 櫻井英俊准教授との共同研究の成果(世代型ラミニン421E8フラグメントを利用した高効率骨格筋幹細胞分化誘導法の開発)が日経新聞電子版で紹介されました。
> 日経新聞電子版のサイトはこちら

2024.04.29論文発表

京都大学iPS細胞研究所 櫻井英俊准教授との共同研究の成果(世代型ラミニン421E8フラグメントを利用した高効率骨格筋幹細胞分化誘導法の開発)がドイツ科学誌《Advanced Science》にオンライン公開されました。
> Advanced Science誌のサイトはこちら
> プレスリリース(大阪大学HP)はこちら
> プレスリリース(蛋白質研究所HP)はこちら

2024.04.26お知らせ

2013年から11年にわたってヒトiPS細胞用培養基材の活性評価を担当された戎富美さんが4月30日をもって退職されました。

2024.04.11成果発表

マンチェスター大学(英国)で開催された米国マトリックス生物学会主催《ASMB 2024 Basement Membrane Workshop》で関口清俊教授が基調講演を行いました。
学会の写真はこちら

2024.04.02お知らせ

久しぶりにお花見をしました!
> お花見の様子はこちら

2024.04.02お知らせ

川口晴香さんが企業等共同研究員としてマトリクソーム研究室に参加しました。ラミニン511 E8フラグメントを利用したヒトiPS細胞のマイクロスフィア培養法の開発チームに加わります。

2024.03.26受賞

谿口征雅さんの発表が第23回日本再生医療学会総会(開催地 新潟)の「優秀演題賞」を受賞しました!
お祝いの会の様子はこちら

2024.03.21-22成果発表

谿口征雅さんと美濃部晃平さんが第23回日本再生医療学会総会(開催地 新潟)で発表しました。

2024.03.16お知らせ

李 紹良さん(研究室OB)が研究室に復帰しました。再生医療用3次元培養基材の開発プロジェクトに参加します。

2024.03.15成果発表

研究室OBの筒井仰さん(現在マンチェスター大学研究員)が私たちのMouse Basement Membrane Bodymapを利用した共同研究の成果を第7回アルポート症候群国際ワークショップ(2024.314-16; 開催地キプロス)で発表しました。