生体分子解析研究室 N末端アミノ酸配列受託分析 509、510号室の所内用共通設備 メンバー 蛋白研HP

プロテインシーケンサーによるN末端アミノ酸配列解析

大阪大学蛋白質研究所・生体分子解析研究室 
2022.6.1 更新

 大阪大学蛋白質研究所では、2台のプロテインシーケンサー(ABI社 Procise 491 cLC、島津製作所 PPSQ-53A グラジエントシステム)を用いて、エドマン分解によるN末端のペプチドシーケンシングを行っており、現在、生体分子解析研究室が解析を担当しています。所外からの依頼も受託解析として受け付けており、主にProcise 491 cLCを用いて対応しています。 --> 分析例

 分析のご依頼、ご相談などありましたら、下の「ご依頼の前にお読みください」をご一読のうえ、生体分子解析研究室のアドレス()まで、川上宛でご連絡ください。その際、サンプル情報、分析条件などを下記のN-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て)に記入して添付していただけると助かります。

 実際の分析の開始にあたりましては、次の三点をお送りください。(所内の方はこちらからお願いします。)
(1) N-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て)
(2) 試験等委託申込書(所内の方は不要)
(3) サンプル

 分析が終了したら、奥村から結果をお送りするとともに、蛋白研会計係より請求書をお送りします。見積書、納品書が必要な場合はお問い合わせください。分析料金につきましては下記をご参照ください。


[ご依頼の前にお読みください]

  1. サンプル調整法(詳細はこちらをご覧ください。2021.10.14修正)。
     PVDF膜サンプル、溶液サンプル、HPLC分画サンプルが分析できます。タンパク質の場合は、精製や脱塩の容易さから、多くの場合はSDS-PAGEしてからPVDF膜に転写する方法が最適です。溶液サンプルを直接解析する場合は脱塩してからお送りください。
  2. サンプル量
     10残基程度の分析を行う場合、少なくとも2 pmol のペプチドまたはタンパク質をシーケンサーにアプライする必要があります。タンパク量を推定するには、既知量の標準蛋白質(BSAなど)を同じゲルに流すといいと思いますが、実験例の写真のバンドと比較することでもある程度見当をつけることはできます。
  3. 解析残基数
     5~20残基程度の範囲で希望解析残基数をご指定ください。組換え体タンパク質のN末端の確認などの場合は6〜8残基程度、データベースサーチの場合は10〜15残基程度が良いのではないかと思いますが、サンプル量や実験内容に応じてご判断ください。
  4. 配列が読めない場合
     量が少ない、複数のタンパク質が含まれる、N末端がブロックされているなど理由で配列が読めない場合があります。解析を続行しても意味がないと判断される場合は、5残基以降の適当なところで解析を中止することがありますのでご了承ください。解析料金は解析残基数に応じて請求させていただきます。
  5. 納期
     通常はサンプルを受け取ってから1週間以内で解析が終わりますが、装置のコンディションや解析待ちサンプル等により遅れる場合もあります。そのような場合はご連絡させていただきます。
  6. Cysの検出
     こちらの標準プロトコールではCysは検出できません。Cysを検出するためには、サンプルのCys残基をあらかじめ還元アルキル化しておく必要があります。Cysの検出を希望される場合は、プロトコールをお送りしますので、還元アルキル化(PVDF膜上で可)を行ってからサンプルをお送りください。還元アルキル化も含めてのご依頼を希望される場合はご相談ください。
  7. N末端のブロックされたタンパク質
     真核生物のタンパク質の50−80%、及び原核生物の一部のタンパク質は、N末端がアセチル化されていると言われています。また、N末端がピログルタミル化やフォルミル化されている場合などもあり、これらの場合はエドマン分解では配列を読むことができません。そのような場合、実験の目的やサンプルの特性に応じて、プロテアーゼで消化して質量分析する方法や、プロテインシーケンサーで内部配列を解析する方法(後述)などをご検討ください。また、ブロックを除去する方法も報告されていますが、こちらでは行っておりませんので、必要でしたら処理を行った後、処理済サンプルをお送りください。
  8. 内部配列の解析
     内部配列の解析(タンパク質を酵素消化し、その断片をHPLCで分離し、シーケンサーで解析する)も可能ですが、受託解析の範囲を超えますので、ご検討される場合はお問い合わせください。なお、タンパク質はPVDF膜に転写した状態でかまいませんが、少なくも20 pmol必要になります。
  9. 修飾アミノ酸
     修飾アミノ酸は、不明のピークとして検出されるか、またはピークが検出されないという結果になります。実験の内容にもよりますが、修飾構造をシーケンサーで同定するのは一般的には困難ですのでご了解願います。
  10. 質量分析
     修飾アミノ酸の解析、微量タンパク質の解析、組換えタンパク質の発現の確認などの場合は、質量分析の方が適している場合があります。こちらでは質量分析の受託解析は行っておりませんが、ご質問には分かる範囲でお答えしますので、お問合せください。また、PMFのような簡単な解析であれば対応できる場合があります。
  11. 再解析
     解析は自動のシーケンサーを用いて行いますが、まれに装置のトラブル等で失敗する場合があります。その場合は必要に応じて再解析させていただきますが、サンプルを全量使ってしまっていた場合は再度サンプルをお送りいただく必要がありますのでご了承ください。
  12. その他
     サンプルのご依頼は、そのサンプルについて研究されている研究室、または共同研究を行なっている研究室の方から直接ご依頼いただきますようお願いいたします。
  13. 分析料金 (2020年4月改訂)

     なお、分析料金は以前より原則は前払いとなっておりますが、現在、後払いが可能です。解析残基数は分析開始後に変更する場合がありますので、特に理由がなければ後払いでお願いいたします。
  14. 諸規定

[分析をご依頼の際は、下記の3点をお送りください。]

  1. N-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て) [Word]
    ・分析担当者に伝えるサンプル情報です。
    ・あらかじめ、メールで、procise@.......に送ってください。
    ・サンプルを送付するときは、プリントしたものを同封してください。
  2. 試験等委託申込書 [Word]
    ・事務手続きです。後払いも、前払いと同一の書式となります。
    ・Wordファイルの赤字の部分のみご記入下さい。
    ・押印が2カ所必要ですのでご注意ください。
    ・押印の後、郵送、あるいはPDFファイルにしてE-mail(procise@.......)の、どちらか一方でお送りください。
    ・解析を始めてからサイクル数を変更することがありますが(ピークが出ない場合など)、その場合はこちらで残基数を修正させていただきたいと思います。
  3. サンプル
    ・PVDF膜は常温で郵送して大丈夫です。溶液サンプルは冷蔵か冷凍が良いと思われます。
    ・サンプルの送付先は下記です。

    技術専門職員 川上恵子
    〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 3-2
    大阪大学蛋白質研究所・蛋白質分子創製学研究室
    TEL 06-6105-6503