生体分子解析研究室 N末端アミノ酸配列受託分析 509、510号室の所内用共通設備 メンバー 蛋白研HP

プロテインシーケンサーによるN末端アミノ酸配列解析

大阪大学蛋白質研究所・生体分子解析研究室 
2023.9.29 更新

 大阪大学蛋白質研究所では、プロテインシーケンサー(島津製作所 PPSQ-53A グラジエントシステム)を用いて、エドマン分解によるN末端のペプチドシーケンシングを行っています。現在、生体分子解析研究室が解析を担当しており、所外からの依頼も受託解析として受け付けています。
実験例とプロトコール

 分析のご依頼、ご相談などありましたら、下の「ご依頼の前にお読みください」をご一読のうえ、生体分子解析研究室のアドレス()まで、川上宛でご連絡ください。その際、サンプル情報、分析条件などを下記のN-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て)に記入して添付していただけると助かります。

 実際の分析の開始にあたりましては、次の三点をお送りください。(所内の方はこちらからお願いします。)
(1) N-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て)
(2) 試験等委託申込書(所内の方は不要)
(3) サンプル

 分析が終了したら、奥村から結果をお送りするとともに、蛋白研会計係より請求書をお送りします。見積書、納品書が必要な場合はお問い合わせください。分析料金につきましては下記をご参照ください。


[ご依頼の前にお読みください]

  1. サンプル量
     理想的なタンパク質の場合、数pmolで5~10残基程度を読むことができます(分析例)。こちらでは独自に修正したプログラクムや、グラジエントシステムのHPLCなどを利用することにより、できるだけ高感度で検出できるようにしています。しかし、実際のサンプルでは何らかの理由で読みにくい場合も多く、一概には言えませんが、通常は 10 pmol 以上を目標に調製するとよいかと思います。
     一般に、大きいタンパク質はより多くのタンパク質が必要になります。また、ゲルからPVDF膜に転写する場合は、転写効率も考慮に入れる必要があります。転写効率を見積もるのは難しいですが、だいたい50%程度の場合が多いようです。また、タンパク質の純度が低かったり、N末端の長さが少しづつ違うものが混在していることはよくあり、そのような場合もより多くの総タンパク量が必要になります。タンパク量を推定するには、既知量の標準蛋白質(BSAなど)を同じゲルに流すといいと思いますが、実験例の写真のバンドと比較することでもある程度見当をつけることはできます。
     解析した結果、量が少なくて読めなかったと判断される場合、サンプルがあれば追加料金なしで再解析しますので、その場合はご相談ください。
  2. サンプル調整法
     PVDF膜サンプル、溶液サンプル、HPLC分画サンプルが分析できます。タンパク質の場合は、精製や脱塩の容易さから、SDS-PAGEしたのちPVDF膜に転写する方法が最もよく利用されます。ペプチドの場合は逆相HPLCが一般的です。いずれの場合もサンプルは脱塩されている必要があります。
     詳細はこちらをご覧ください。(2023.9.29 修正)。
  3. 解析残基数
     5~20残基程度の範囲で希望解析残基数をご指定ください。組換え体タンパク質のN末端の確認などの場合は6〜8残基程度、データベースサーチの場合は10〜15残基程度が良いのではないかと思いますが、サンプル量や実験内容に応じてご判断ください。
  4. 解析日数
     通常はサンプルを受け取ってから1週間以内で解析が終わりますが、装置のコンディションや解析待ちサンプル等により遅れる場合もあります。そのような場合はご連絡させていただきます。
  5. 配列が読めない場合
     サンプルによっては、量が少ない、N末端がブロックされている、複数のタンパク質が含まれるなど理由で配列が読めない場合があります。何らかのシグナルが出ていれば基本的には指定されたサイクルの解析を実行しますが、シグナルが全く検出できない場合など、解析を続行しても意味がないと判断される場合は、5残基以降の適当なところで解析を中止することがありますのでご了承ください。解析料金は解析残基数に応じて請求させていただきます。
  6. Cysの検出
     Cysを検出するためには、サンプルのCys残基をあらかじめ還元アルキル化しておく必要があります。Cysの検出を希望される場合は、プロトコールをご参考になり、還元アルキル化(PVDF膜上でも可)を行ってからサンプルをお送りください。還元アルキル化も含めてのご依頼を希望される場合はご相談ください。
  7. N末端のブロックされたタンパク質
     真核生物のタンパク質の50−80%、及び原核生物の一部のタンパク質は、N末端がアセチル化されていると言われています。また、ほかにもN末端のアミノ基をブロックする修飾が知られていますが、エドマン分解の試薬は最初にアミノ基と反応しますので、これらの場合はエドマン分解では配列を読むことができません。そのような場合は、実験の目的やサンプルの特性に応じて、プロテアーゼで消化してプロテインシーケンサーで内部配列を解析する方法や(後述)、質量分析を用いる方法などをご検討ください。また、ブロックを除去する方法も報告されていますが、こちらでは行っておりませんので、必要でしたら処理を行った後、処理済サンプルをお送りください。
  8. 内部配列の解析
     内部配列の解析、すなわち、タンパク質を酵素消化し、その断片をHPLCで分離し、シーケンサーで解析する方法もあります。酵素消化とHPLCは受託解析の範囲を超えますが、蛋白研共同研究員(簡易型)の申請によって可能な場合がありますので、お問い合わせください(詳細はこちら)。なお、タンパク質はPVDF膜に転写した状態でかまいませんが、膜上に少なくとも10pmol以上存在することが必要です。
  9. 修飾アミノ酸
     修飾アミノ酸は、不明のピークとして検出されるか、またはピークが検出されないという結果になります。実験の内容にもよりますが、修飾構造をシーケンサーで同定するのは一般的には困難ですのでご了解願います。
  10. 質量分析
     修飾アミノ酸の解析、微量タンパク質の解析、組換えタンパク質の発現の確認などの場合は、質量分析の方が適している場合があります。こちらでは質量分析の受託解析は行っておりませんが、ご質問には分かる範囲でお答えしますので、お問合せください。また、PMFのような簡単な解析であれば対応できる場合があります。
  11. 再解析
     解析は自動のシーケンサーを用いて行いますが、まれに装置のトラブル等で失敗する場合があります。その場合は必要に応じて再解析させていただきますが、サンプルを全量使ってしまっていた場合は再度サンプルをお送りいただく必要がありますのでご了承ください。
  12. その他
     サンプルのご依頼は、そのサンプルについて研究されている研究室、または共同研究を行なっている研究室の方から直接ご依頼いただきますようお願いいたします。
  13. 分析料金 (2023年10月より)
  14. 1サンプルにつき 基本料金16,500円+3,300円×分析残基数(税込)

  15. 諸規定

[分析をご依頼の際は、下記の3点をお送りください。]

  1. N-末端アミノ酸配列分析依頼書(分析担当者宛て)[Word]
    ・分析担当者に伝えるサンプル情報です。
    ・あらかじめ、メールで、procise@.......に送ってください。
    ・サンプルを送付するときは、プリントしたものを同封してください。
  2. 試験等委託申込書 [Word]
    ・事務手続きです。後払いも、前払いと同一の書式となります。
    ・Wordファイルの赤字の部分のみご記入下さい。
    ・押印が2カ所必要ですのでご注意ください。
    ・押印の後、郵送、あるいはPDFファイルにしてE-mail(procise@.......)の、どちらか一方でお送りください。
    ・解析を始めてからサイクル数を変更することがありますが(ピークが出ない場合など)、その場合はこちらで残基数を修正させていただきたいと思います。
  3. サンプル
    ・PVDF膜は常温で郵送して大丈夫です。溶液サンプルは冷蔵か冷凍が良いと思われます。
    ・サンプルの送付先は下記です。

    技術専門職員 川上恵子
    〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 3-2
    大阪大学蛋白質研究所・蛋白質分子創製学研究室
    TEL 06-6105-6503