我々はライフサイエンスと言われる分野の中でも分子生物学という分野で研究しています。
分子生物学は文字通り、分子レベルで生命活動を理解すること、つまり、我々の身体の中で起こっている様々な生命現象を、分子(この場合、DNA, RNA, タンパク質)を役者として、その物語を詳しく描き出すことを行っています。
我々の生命活動の根幹は分子の世界です。つまり、マイクロメートル(100万分の1メートル)のオーダーの世界で起こっている現象を目の前に起こっているように描きだす学問です。
目では、もちろん、顕微鏡を使ってすら見えない世界を描き出すわけことにより、生命の基本のシステムを理解できます。もちろん、正常な生命活動をしっかりと理解することは、病気などを伴う異常な生命活動を理解することにも繋がると考えられます。

生命活動を分子レベルで理解することは、我々生物,特にヒト自身を詳細に知ることに結びつきます。すなわち、分子生物学を含めたライフサイエンス(生物学)は自分の身体の中の世界を詳細に理解する学問と言えます。

生物化学分野での位置づけ

私たちの研究に対する考え方を知る上で、以下の資料が参考になると思います。
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阪大Walker 2011年11月号抜粋、山本君ありがとう

私たちの研究内容

私たちの研究室は、生物学、ライフサイエンスの中でも、遺伝子、DNA、染色体に注目をして研究を行っています。
生物の設計図である遺伝子/DNA/染色 体は細胞が分裂して、娘細胞が出来る際、必ず同じ設計図を持つように、正確に複製され、分配されます。
あるいは、生命が再生する時には、親から子へと遺伝子が 伝わるわけですが、その時も父親由来の遺伝子の1セット、母親由来の1セット が正確に子供に伝承されます。この正確に設計図を維持することは生物を生物た らしめている根幹の反応です。

子孫に正確に伝えるだけではなく、生物の1つ1つの細胞の設計図を綺麗に維持しておくことは生命活動に大切です。
設計図の汚れ、傷は、設計図によっ て決められている生命活動を見出し、機能不全、つまり、病気を引き起こしてしま います。図の傷や汚れは細胞が持つ修正機能によってもとに戻ることができます。
傷や汚れの種類は様々なので、我々の身体の中には様々な傷の修正機能が 存在しています。

傷や汚れは身体の中の要因や外からの要因により生じます。
この傷は 我々の身体の中では日々作られて、直されています。一日1000から1000 0個の傷や汚れが生じていると言われています。
例えば、紫外線はDNAに特殊な 傷を生み出したり、活性化酸素(酸素の悪玉分子)はDNA分子を参加して汚れを作ります。
我々は、さまざまなDNAの傷の中で、放射線(β線やγ線等)によ って生じる傷、この場合は、DNAや染色体を分断するような傷に注目しています。この傷の大きな特徴は生命の設計図である遺伝子を直接裁断するため、絶対に 直さなくてはいけない傷です。
この傷の修復に傷つく前の情報と同じ情報を持つ 遺伝子の情報が必要です。
つまり、傷ついた設計図を傷ついていない設計図から コピーすることで傷を直しています。このような設計図の入れ換えは"組換え"と いうDNA/染色体の交換が関わっていることが知られています。
我々の研究室で はこの"組換え"の仕組みを分子レベルで理解することを目的に研究を行ってい ます。

DNA/染色体の交換である"組換え"は皆さんにとっては、生物の多様性 を生み出すことに関わっています。

各プロジェクトごとの概要

我々のラボでの、いくつかの具体的なプロジェクトの研究事例について簡単に解説します。
私たちのグループではDNAの交換反応である組換えについて研究をしています。

組み替えって、何?
減数分裂って何?その役割

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大阪府吹田市山田丘 3-2
大阪大学 蛋白質研究所

TEL:06-6879-8624
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